トヨタ「RAV4」が並み居る競合車に圧勝した理由 日本カー・オブ・ザ・イヤー19-20選出の裏側

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
トヨタRAV4の開発を担当したチーフエンジニアの佐伯禎一氏(写真:日本カー・オブ・ザ・イヤー公式サイト)

受賞後に佐伯氏と話をしたが、喜びの声はもちろん、「発売後に皆さんからいい意見だけでなく厳しい意見ももらったが、自分自身は凄く勉強になった。今回の賞は『トヨタもっと頑張れよ』という思いや期待だと思っています。また明日から頑張ろうと言う勇気をいただきました。もっといいクルマをつくり、『最近よくなっているよね』と感じていただけるように頑張りたい」と。

一方、2位のMAZDA3に10点を入れた選考委員は60人中16人だったが、逆に1点も入れなかった選考委員は4人と、多くの選考委員は評価をしている。第7世代と呼ばれる「次世代マツダ」のトップバッターとして登場したモデルで、「日本車もここまで来たか!」と感じさせるオーラのあるデザインや作り込みのよさ、人間中心の思想を高みに押し上げた走り、内燃機関の可能性を追求したスカイアクティブXなど、こちらも攻めのフルモデルチェンジだったが、トヨタRAV4の総合力には及ばなかった……。

個人的にはコンセプトにブレはないものの、開発者の思いとハードの仕上がりに若干ギャップがあることとユーザーメリットが感じにくい点などが気になった。

最終選考会終了後に開発主査の別府耕太氏と話をしたが、「くやしい思いはありますが、その一方で『まだまだ頑張れるよね!!』というわれわれへのエールだと感じました。今後、皆さんのご期待に添えるように頑張っていきます」と前向きだったので、ホッとした。

趣味的要素の強いモデルは選出されにくい

さらにCOTYには部門賞も用意されており、環境/安全/その他の革新技術を持つクルマを選ぶイノベーション部門賞はプロパイロット2.0を搭載した「日産スカイライン」、秀でたデザイン/ドライブフィールを持つクルマを選ぶエモーショナル部門賞は「ジープ ラングラー」、そして軽自動車/小型モビリティから選ぶスモールモビリティ部門賞は「日産デイズ 三菱eKクロス/eKワゴン」が受賞。なお、COTY実行委員が選ぶ実行委員会特別賞は「ノミネートなし」だった。

令和初の日本カー・オブ・ザ・イヤーはこのような結果となったが、中には「物言い」をしたい人もいると思う。例えば「なぜ、あれだけ話題のスープラが10ベストにすら残らないのか?」や「スモールモビリティ賞があるのに、大きいクルマの賞はなぜないの?」「デザインが優れたクルマに与える賞がない」などである。選考委員の選考基準は人それぞれなので、現在のシステムでは趣味的要素の強いモデルは選出されにくいのも事実だ。

海外のアワードではクルマのカテゴリー/ジャンルごとに優れたモデルを選出……と言う考え方もあるが、それだと「大賞(=その年を代表する1台)」の価値が薄れる」と言う懸念も……。もちろん、実行委員側にもいろいろな事情があるのは重々承知だが、未来のためには検討していく必要はあるかもしれない。

山本 シンヤ 自動車研究家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事