落日の東京モーターショー、市場の地盤沈下を象徴

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10月24日から千葉・幕張メッセで開催中の「東京モーターショー」。米デトロイトや独フランクフルトなどと並ぶ世界5大モーターショーの一角だが、かつてない小規模なショーとなっている。

「若者のクルマ離れでなく、クルマから離れていたのは私どもメーカーだった」。記者発表でトヨタ自動車の豊田章男社長はこう語った。

会場を見渡すと、国内メーカーの関係者だらけ。出展数は109社と前回から半減以下で、海外からは英国のロータスとケータハム、独アルピナの3社のみ。来場者数も100万人を下回る公算が高く、ピークだった1991年の200万人超に遠く及ばない。

かつて世界の有力メーカー首脳が一堂に介し、提携劇の隠れた舞台となったモーターショー。だが現状の低迷ぶりを、単に「世界同時不況のせい」と結論づけてしまっては、大きな方向性を見誤る。

各メーカーがモーターショーに出展する狙いは、販売促進と技術のPRの2点といえる。だが販売促進の面では、今年の日本市場は政府支援策があっても、500万台割れが濃厚。輸入車のシェアももともと低いうえ、人口減で市場のパイは縮むばかりだ。

一方の中国市場は今年、新車販売が1200万台を突破し、米国を追い抜き世界最大となる見込み。実際、4月の上海モーターショーには約1500社が出展するなど、新・自動車大国のパワーを見せつけており、モーターショーの魅力の差につながった。

技術PRの場としても、東京は欧州に見劣りする。9月のフランクフルトモーターショーでは、電気自動車など華やかな技術が話題をさらった。トヨタですら「ウチも世界に売っている会社。環境でアピールするなら欧州のほうがいい」(幹部)と漏らす。

国内マーケットが縮小すれば、販売店や整備会社など、自動車関連の雇用にもたらす影響も大きい。足元である東京モーターショーの落日は、日本市場の地盤沈下を反映しているといえる。

(撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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