「会社四季報」新春号に見る注目の企業はこれだ 配当の厚い銘柄、会社予想より強気な銘柄は

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配当の指標としては、単年度に稼いだ純利益に対する配当の割合を示す、配当性向が一般的だ。しかし、純利益は年度によって変動が大きく、配当性向だけを基準にすると、配当水準が安定しなくなることもある。一方、DOEの場合、ベースとなる株主資本は比較的変動幅が少ない。海外の機関投資家は株主還元の姿勢を図る指標として重視しており、日本でもサイバーエージェント(5%)やオムロン(3%)など、配当方針としてDOEを掲げる企業が増えてきている。

今号では直近決算期のDOEの実績をランキングで掲載。また個別銘柄についても、各ページで5期前と比べた、DOE改善度を載せている。3月決算会社の権利確定日となる2020年3月末に向け、企業の還元姿勢の変化をチェックしていただきたい。

またランキングでは、「乖離率」「増額率」にフォーカスした企画を用意。記者が3カ月前の秋号(9月19日発売)から利益予想を増額したり、さらにその『四季報』予想が会社予想より強気に乖離したりしている企業をピックアップした。

独自の『四季報』予想でポジティブサプライズ

乖離と増額、どちらもポジティブだが、意味合いは異なる。増額率が乖離率より大きいケースは、会社が3カ月前の予想を上方修正し、それに合わせて、記者が会社予想に”ちょい乗せ”している。一方、乖離率が増額率より大きいケースは、会社が3カ月前の業績予想を据え置きもしくは少しだけ上方修正を行い、それを保守的と見た記者が会社予想を大きく上回る予想をしたときに起きる。

会社予想は誰でもアクセスできるため、株式市場に早く広く織り込まれる。一方、『四季報』の独自予想である乖離率の大きさは市場への織り込みが少ないという点で、ポジティブサプライズとなり、『四季報』読者がいち早く知ることができるお宝情報といえる。

ちなみに乖離率首位となった企業は、知名度の高い外食企業であり、乖離率は350%になった。はたしてどの企業か、ぜひ、その目で確かめていただきたい。

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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