キリンの「クラフトビール」強化は吉と出るか

高価格帯に力を入れるアサヒと真っ向勝負

キリンの子会社「スプリング バレー ブルワリー」が京都で運営しているクラフトビール・ブルワリー併設型店舗(記者撮影)

国内ビールシェア2位のキリンビールを傘下に持つキリンホールディングスは11月20日、アメリカのクラフトビール大手、ニュー・ベルジャン・ブルーイングを子会社化すると発表した。2020年3月末までに同社株式を100%取得する(買収額は未公表)。

また、11月25日には2007年に子会社化したオーストラリアの飲料事業を中国の乳業大手「蒙牛乳業」グループに約450億円で売却することも公表。経営資源を集中する事業と、構造改革を徹底する事業を明確にし、収益の底上げを狙う。

ファンケルなどに出資、多角化を急ぐ

キリンは目下、事業の多角化を急いでいる。今年2月に発表した2027年に向けた長期経営構想「キリングループ・ビジョン 2027(KV2027)」では、既存の食領域(酒類、飲料など)と医領域をつなぐ「中間領域」の強化を打ち出している。4月には連結孫会社だった協和発酵バイオの持ち株比率を50.1%から95%に引き上げて子会社化し、9月には化粧品メーカーのファンケルを持分会社化した。

【2019年11月30日20時05分追記】協和発酵バイオについての初出時の記述を上記のように修正いたします。

アメリカのクラフトビール市場で3位のニューペルジャン・ブルーイング(写真:キリンホールディングス)

今回のニュー・ベルジャン買収も事業多角化の一環だ。アメリカのクラフトビールメーカーは約7000社あり、同社はアメリカのクラフトビール市場で3位に位置する。ニュー・ベルジャンは40種類以上の商品を持ち、アメリカの全50州に販路を有する。

アメリカでは小規模醸造所が増え続けている。キリンによると、アメリカのクラフトビール市場は2018年に前年比7%増加(金額ベース)。ビール市場全体の約24%を占めたという。キリンはニュー・ベルジャンの巨大な販路を通じ、キリン製クラフトビールの現地販売を視野に入れる。

クラフトビール市場をめぐっては、サッポロホールディングスが2017年に先駆けてアメリカの企業「アンカー・ブルーイング」を買収している。しかし、クラフトビールの草分け的存在であるアンカー社は新興クラフトビールに需要を奪われ、サッポロは2018年にのれんの減損43億円を計上した。アンカー社は販売の主要エリアがサンフランシスコ近郊に限定されており、アメリカにおける販路の広さではニュー・ベルジャンと大きな違いがある。

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