キリンの「クラフトビール」強化は吉と出るか 高価格帯に力を入れるアサヒと真っ向勝負

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キリンがクラフトビールの展開を加速する背景には、国内ビール市場の不振がある。国税庁によると、国内における酒類の消費数量は1996年をピークに減り続けており、同年の約965万キロリットルから2017年には約837万キロリットルと、約13%減少した。中でもビール離れは著しく、1996年の670万キロリットルから2017年の254万キロリットルへ、6割以上も減少した。

キリンホールディングスの磯崎功典社長は今年9月のインタビューで、クラフトビールに注力する理由を次のように語っている。

「多くの消費者は、大量生産品に魅力を感じなくなってきている。ビール会社はこれまで長い間、どこも同じような商品を大量に作る競争をしてきた。市場が縮小し続けているのは、ビールそのものの魅力がなくなり、消費者にそっぽを向かれてしまったことも大きな要因であろう。(クラフトビールなどで)ビールの魅力を追求して、離れていった消費者をなんとか取り戻したい」

低採算の海外事業は売却へ

その一方、キリンはここ数年、低収益事業の切り離しを進めている。きっかけとなったのは、2011年に子会社化したブラジル飲料会社の失速だ。当時約3000億円で買収したものの成長見通しが立たず、2017年に740億円でハイネケンに売却した。今回のオーストラリア飲料事業の売却を公表したのも、この流れに沿ったものだ。

ただ、海外事業全体を縮小するわけではない。フィリピンやミャンマーは規模小さいものの、引き続き販売に力を入れる。オーストラリアについても飲料は手放したが、酒類事業は「利益率が非常に高い。グループ全体にとって、なくてはならない事業」(キリンIR担当者)であることから、引き続き展開を強化する。

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