ローマ教皇が日本来日で残した「珠玉の言葉」 "ゾンビのような生活"への警鐘

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教皇は政治的な影響力も多大だ。これまでもトランプ大統領の政策に対してもはっきりと批判をしてきた。

「完全でなく、純粋でも洗練されていなくても、愛をかけるに値しないと思ったとしても、丸ごとすべてを受け入れる。そして障害をもつ人や、弱い人を受け入れ、共同体として傷ついた人を癒やし、和解とゆるしの道をつねに示す野戦病院となることです」

教皇は教会の役割として、どのような人も受け入れる「野戦病院」となることを提唱した。司祭に対しても教会の中にいるのではなく、外へ出なさいと諭す。そして貧しい人、声を上げられない人の声を聞き、実際に何が起こっているかを自らの目で確かめることが大事だと説いている。それを実践しているのがまさにフランシスコ教皇なのだ。

カトリックの改革はまだ道半ば

しかしながら、歴史と伝統に守られてきたカトリックの改革はまだ道半ばである。25日、母国アルゼンチンの裁判所は、聴覚障害児童に性的虐待を行った罪で、加害者の2人の司祭に懲役40年以上という判決を下した。教皇はブエノスアイレス大司教だったこともあり、責任を問う声も挙がっているという。82歳という高齢でもあるため、在位中にできる限り改革を推し進めなければならないという思いが教皇にはある。

日本におけるカトリック信者の数そのものは高齢化社会、少子化によって減少の一途をたどっているが、フランシスコ教皇のオフィシャル・ツイッターのフォロワー数は1800万を超えている。今回の訪日でも異なる世代に対して、わかりやすい言葉で伝えようとする教皇の言葉に感銘を受けた人も多いだろう。

社会生活の中で窮地に追い込まれたり、孤独を感じたときにこそ、教皇の言葉は生きてくるのではないだろうか。

草薙 厚子 ジャーナリスト・ノンフィクション作家

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くさなぎ あつこ / Atsuko Kusanagi

元法務省東京少年鑑別所法務教官。日本発達障害支援システム学会員。地方局アナウンサーを経て、通信社ブルームバーグL.P.に入社。テレビ部門でアンカー、ファイナンシャル・ニュース・デスクを務める。その後、フリーランスとして独立。現在は、社会問題、事件、ライフスタイル、介護問題、医療等の幅広いジャンルの記事を執筆。そのほか、講演活動やテレビ番組のコメンテーターとしても幅広く活躍中。著書に『少年A 矯正2500日全記録』『子どもが壊れる家』(ともに文藝春秋)、『本当は怖い不妊治療』(SB新書)などがある。

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