開発続く「物流施設」、駅チカ物件が増えるワケ

託児所やスポーツジム併設の施設も登場

荷物を保管するだけの「倉庫」が、仕分け・梱包・流通まで担う「物流施設」へと変貌して久しい。旧来型の倉庫が競争力を失う一方で、物流施設はさながら時代の寵児のごとく隆盛を極めてきた。だが今後は「物流施設同士でも競争が繰り広げられるだろう」(三井不動産の三木氏)。

物流施設が抱えるジレンマ

例えば、ある不動産会社が今年に開発した物流施設。延べ床面積は約4万平方メートルと中型で、最寄駅から施設までは路線バスも走っている。だが施設内に従業員向けの食堂や売店、休憩スペースなどは設置されていない。「大型の物流施設ならさまざまな福利厚生を提供できるが、中小規模だと収益的に厳しい」と担当者は打ち明ける。

物流施設の賃料はテナントに貸し出す面積によって決まる。福利厚生を充実させればさせるほど、施設全体が生み出す賃料は下がるジレンマを抱える。

大型化が止まらない物流施設。今年5月にラサール不動産投資顧問らが開発した「ロジポート川崎ベイ」は、延べ床面積約30万平方メートルを誇る(記者撮影)

首都圏の物流施設では、併設した託児所の運用に頭を悩ませる。「テナントから何歳の子が何人来そうかをヒアリングしているところだ。場合によっては、利用者がゼロの可能性もある」(開発担当者)。流動的な非正規従業員のニーズを的確に捉えることは難しく、どんなサービスを提供するか各社の手腕が問われる部分だ。

物流施設への投資額は重くなる一方、不動産会社からは「魅力的な施設を作れば、それに見合った賃料を取れる」という声も上がる。物流施設というハードを整えるのみならず、働きやすさというソフトに対しても大胆な投資を行うことこそ、遠回りに見えて実際は収益化の近道となるのかもしれない。

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