就活と院試が両立できない理系学生のジレンマ 本格的な研究しなくても企業は評価するが…
今、中学校や高校では、「STEAM教育」という、科学(Science)、技術(Technology)、 工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)を横断的に学ばせる理系教育が広まりつつある。学校現場ではプログラミングから実験までさまざまな授業が行われており、中には大学レベルの授業を行う学校もある。
背景には、IoT(モノのインターネット)やロボット、AI(人工知能)、ビッグデータを取り入れ、社会問題を解決したり、新たな技術やビジネスをつくり出したりする新社会(ソサエティー5.0)に対応できる人材を育成しようという狙いがある。
『週刊東洋経済』は11月25日発売号で、「本当に強い理系大学」を特集。変化が激しい理系の学部・学科の現状について、親と受験生の両方の目線から徹底取材した。
研究内容や研究室で進学先選ぶ受験生がジワリ増加
足元は、就職環境が良いことから、文系の学部に人気が集まる「文高理低」の状況だ。「しかし、理系教育が中・高の現場で進む中、東京五輪後の景気後退懸念もあり、「理系の学部に目を向ける親や受験生が増えている」(受験・教育業界の関係者)という。
中学生や高校生もより具体的な理系のキャリアプランを描く。「理系を志望する子の中には、その大学でしかできない研究があるという理由で、東京大学ではなく東京工業大学や東北大学、京都大学などを選ぶ生徒もいる」(中高一貫校に詳しい教育関係者)。学校名よりも著名な研究室を求めて志願先を選ぶ高校生も少なくない。
理系大学や学部への進学は、親の期待もある。アイデムが今年5月、小・中学生の子どもを持つ親3600人に聞いた「親の子供に対する就職期待とキャリア教育に関する調査」によると、子どもの文系か理系かの進路選択で、「理系に進んでほしい」とした割合は70%。小学生の男の子を持つ親に限ると81.9%に達する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら