ファーウェイ「会長来日」、その真の狙いは何か 日本企業からの部品調達は過去最高1.1兆円

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梁会長が日本で記者会見するのは今回が初めてだ。ファーウェイの日本経済への貢献ぶりをアピールする背景には、日本企業との連携を強化して、さらなる成長への道を切り開く狙いがありそうだ。

ファーウェイは今年5月、アメリカ商務省が輸出管理規則に基づいて作成している禁輸措置対象リストに入った。アメリカ企業はファーウェイとの取引が実質的に禁止され、アメリカ製品や技術が25%以上含まれている場合、日本企業の製品であってもファーウェイへの出荷が事実上できない。

インテルなど一部のアメリカ半導体企業はファーウェイとの取引を例外的に認められているが、アメリカ企業からの部品調達は制限されており、ファーウェイにとって日本企業は部品調達先として重要になっている。

対ファーウェイ禁輸、事態好転の兆しも

ファーウェイには、ソニーやパナソニックのほか、大手電子部品メーカーの村田製作所やTDKなど数多くの日本企業が部品を供給している。5月に禁輸措置が発動された際、一部の電子部品メーカーの間で「ファーウェイへの供給が実際に止まった場合には中期経営計画を見直さざるをえない」との声があがった。

日本での初めての記者会見に臨んだファーウェイの梁会長。来日の狙いは何だったのか(撮影:風間仁一郎)

梁会長は「日本企業とファーウェイはウィンウィンの関係だ」とたびたび口にし、日本企業との連携を維持することがお互いにとって最善の道だと説明。日本企業との関係を強化して、自社の成長に必要な部品を安定的に購入できるようにしていく狙いがにじんでいる。

米中貿易摩擦の矢面にさらされているファーウェイだが、事態が好転する兆しも出始めている。11月19日に、アメリカ政府は一部の企業に出している禁輸措置猶予期間の3回目の延長を決定。20日にはファーウェイに対して限定的にアメリカ製品の輸出を許可する手続きを始めた。

梁会長も「アメリカ企業と協力できるならしたい」と話す。ただ、貿易をめぐる議論が行われている米中通商協議の結果次第では、ファーウェイへの締め付けが一段と厳しくなる可能性も捨て切れない。

米中関係とは対照的に、日中関係は来春に中国の習近平国家主席が国賓として来日予定など改善方向に向かっている。ファーウェイ側は「自社は国策企業ではない」と強調するが、中国を代表する企業として日中関係の改善のひとつの流れにのっているともいえる。

ファーウェイが日本企業との関係を深めれば深めるほど、日本企業がファーウェイの動向から受ける影響も大きくなる。米中協議の行方次第ではファーウェイが再び制裁などを受ける恐れもある。日本企業がファーウェイといかに付き合うか、難しい段階に差し掛かっている。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。台湾台北市生まれの客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説の研究者でもある。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、アニメが好き。

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