「水牛チーズ」を作る日本人のとてつもない人生 イタリア、宮崎、北海道、そして木更津へ

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――木更津の前は、北海道で水牛モッツアレラを作られていたそうですね。

水牛の飼育に適しているのは、イチジクとビワが育つ土地です。日本にはそういう土地が少なく、水牛の酪農家は北海道に2軒しかありません。

そのうちの1軒で9頭のイタリア産水牛を育てていました。個人でオーストラリアから輸入した牛です。この木更津の農場にくるタイミングで10頭を追加輸入して、その後に生まれた仔牛が8頭。いまは全部で27頭になりました。

1日にできるモッツァレラは、わずか6キロ

――27頭で1日どのくらいのモッツァレラチーズができるのでしょうか。

27頭のうち、乳がとれる雌牛は18頭です。今は6頭しか乳を搾れないので、1日にとれる量はだいたい20リットルくらい。そこからできるモッツァレラは、6キロくらいですね。

――それをどのくらいのお値段で販売しているのでしょうか。

農場内で販売しているのは100グラム税別で1200円。東京都内のチーズショップに卸しているのは100グラム1500円ぐらいです。

クルックフィールズ内にある牛舎(写真:編集部撮影)

――生産量が少ないだけに、一般的なモッツァレラチーズに比べるとかなり高価ですね。しかも、「できたて」を食べることにこだわりがあるそうなので、購入できる人も限られています。

その日の朝に搾った乳で作ったモッツァレラを、その日のうちに食べてもらえる条件で、北海道や九州のレストランにも卸しています。毎朝、羽田から送っています。

モッツァレラは作った瞬間から鮮度が落ちていくんです。出来たてのおいしさは、その日のうちに食べなきゃわかりません。言葉でいくら説明しても、食べてもらわないことには味を伝えることができないんですよね。だからその日できたものを東京はもちろん、羽田から全国に送ることができるこの立地条件は本当にありがたいんです。

次ページ水牛は大量生産が難しい?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事