過去の知名度の割に存在感の薄い鳩山首相、菅副総理

過去の知名度の割に存在感の薄い鳩山首相、菅副総理

塩田潮

 今日で鳩山政権発足からちょうど1カ月だ。
 これまで政権移動はほとんどが自民党内の首相の交代だったので過去の事例と同列には論じられないが、新政権の最初の1カ月としては順調な滑り出しといっていいだろう。組閣もおおむね適材適所で挙党態勢をつくり上げた。首相を支える官邸のスタッフには官僚出身議員を配置するなど、手堅い布陣だ。

 麻生前首相は「総選挙実行」の期待を背負って登場し、就任後の1カ月、解散を模索したものの機を逸し、低迷に見舞われた。福田康夫元首相は最初は低姿勢一本やりだったが、1カ月が過ぎたところで「大連立」という大仕掛けの勝負に出た。
 与野党入れ替わりの政権交代は1993年8月の非自民連立、翌94年6月の自社さ連立の例がある。93年は総選挙後に突然、細川内閣が誕生したため、当初の1カ月は政権運営よりも「なぜ非自民連立」「なぜ細川首相」という謎解きに関心が集中した。94年は村山新首相が就任20日後にいきなり日米安保堅持、自衛隊合憲など社会党の大転換をやってのけ、国民を驚かせた。

 今回、民主党は準備してきた政権構想を提示し、首相候補も明示して政権を握った。スタートの1カ月、政策決定の内閣一元化推進や官僚の国会答弁禁止方針などを打ち出す小沢幹事長、核密約の情報公開など外交の新基軸に意欲的な岡田外相、公共事業の見直しに乗り出す前原国交相、各省に乗り込んだ「政務3役」一体の「脱官僚」への取り組みなど、新政権の「チーム」のアピール力はまずまずだ。
だが、物足りない点もある。
 一つは鳩山首相の顔が見えない。もう一つは新政権のセールスポイントの「国家戦略」を担う菅副総理の影が薄い。試運転と助走の期間とはいえ、結党以来の看板の両者の存在感が小さい。過去の実績や知名度の割に、現段階では小粒で軽量、パワー不足という印象だ。
 熟慮と周到さは必要だが、慎重になりすぎるのはよくない。

(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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