新「MacBook Pro」が超高価でも支持されるワケ クリエイターの意見を徹底的に重視して刷新

拡大
縮小

アップルは2019年6月に、クリエイティブ・プロの制作現場にふさわしいデスクトップコンピューターとこれに組み合わせるディスプレーとして、Mac ProとPro Display XDRを発表した。アップルによると2019年12月に出荷し始めるこれらの製品のテーマは、「世界で最高の制作環境は何か?」という問いに答えることだった。

アップルでMacBook Pro担当プロダクトマネージャを務めるシュルティ・ハルデア氏は、「世界で最も人気のある15インチMacBook Proを最高の製品へと変えていくため、ノートブックに対しても、デスクトップと同じ問いかけを行った」と開発を振り返る。その際、これまでの15インチモデルを選ぶプロに対して、なぜ選び、気に入って使っているのかを尋ねたという。その結果、MacBook Proが支持される6つの条件が浮かび上がった。

1.より大きなディスプレー
2.非常に速いパフォーマンスを誇り、高い負荷に耐えること
3.できるだけ大きなバッテリーを搭載すること
4.アイデアに集中できる最もいいキーボード
5.巨大なストレージを搭載できること
6.素晴らしいサウンドシステム

試作の過程でもクリエイターに対してテストを繰り返しながら熟成を進め、これらの条件を余さず答えることによって完成したのが、今回の16インチMacBook Proだった。ハルデア氏はクリエイティブの世界で「ゲームチェンジャーになる」と自信をにじませる。

不可能を許さない拡張性を実現

MacBook Proの上位モデルとして長らく存在してきた15インチモデルは、今回の刷新でラインナップから姿を消し、16インチモデルに移行することが明らかとなった。

ディスプレーサイズはこれまでより1インチ拡大し、3072×1920ピクセルに。最大輝度500ニト、P3高色域の表示に対応するディスプレーは、額縁を上部で25%、両サイドで34%縮小し、より没入感あるディスプレーへと完成させた。テクノロジーとしてはこれまでの高精細液晶ディスプレーであるRetinaディスプレーが引き続き採用されている。

画面拡大に伴い、ボディサイズは15インチモデルと比べて長辺8.7mm、短辺5.2mm、厚みも0.7mm増している。また重量は2.0kgと170g重くなった。これは後述するパワフルなプロセッサーとグラフィックスを搭載してなお、11時間のバッテリー駆動時間を確保するだけのスタミナを擁する。アメリカ連邦航空局(FAA)が定める航空機内持ち込みの最大バッテリー容量である100Whに拡大され、重量増加の要因となっている。充電器はサイズをそのままに、これまでの87Wから96Wへ強化された。

暗所で撮影した16インチMacBook Pro(左)と15インチMacBook Pro。画面サイズの拡大とベゼル縮小、新しいMagic Keyboardへの変更に伴うバックライトの最適化が確認できる(筆者撮影)
次ページメモリーは最大64GB、ストレージは最大8TB
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT