ファッションショーが”超高コスト”な理由 モデル代、舞台演出、IT・・・

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メルセデス・ベンツがスポンサーとなっていて、都内で行われている東京ファッションウィーク(略して、東コレ)には、国産ブランドや若いデザイナーなどが多く参加しています。ちなみに、東コレにかかる費用もピンキリですが、大体、数百万~2千万円程度と言われてます。

さて、次の話題に移る前に、ファッションショー入門講座vol.2として、ショーの種類(2種類)をお伝えします。ひとつは、”オートクチュール”。もうひとつは、”プレタポルテ”。みなさんも、どこかで耳にしたことがあるかもしれません。実際は、それぞれに正確な定義があるのですが、ここでは細かいことは省略し、わかりやすく説明したいと思います。極端にいうと、”オートクチュール”とは、協会に加盟しているブランドによる、すべてハンドメイド(ミシンは一切使わない)のオーダー服です。一方、”プレタポルテ”は、大量生産の高級既製服(デパートやお店で手に入る一般的な高級ブランド服)のことです。もともと、ファッションショーの原点はオートクチュールでしたが、あまりに高価なため現在では一般的ではなくなり、今日ではファッションショーといえば、ほぼ”プレタポルテ”のショーをさします。

ITを使ったファッションショーの新たな試み

さて、今回、最後にお伝えするのは、IT×ファッションショーです。具体的には、ショーのメディア配信についてです。ご存じのとおり、ここ数年の動画の普及は目覚ましく、今ではほとんどのショーを動画で見ることができるようになりました。テレビや雑誌で特集されるのを待たなくても、どこにいてもファッションショーの映像を見ることが可能になりました。

とはいえ、スピード面で言うと、いちばん早いのは画像です。日本語のサイトでも「Fashion Press」などは、ショーの後すぐに配信されますので、ショーの直後から数時間後に新しいコレクション画像を確認することができます。

その画像よりはスピードが少し遅くなりますが、今、各ブランドが最も力を入れているのが、動画配信です。主に、自社のHPなどで紹介することが多く、早いブランドでは、ショーの翌日には動画をアップします。

そして、一部のハイブランドですでに行われているのですが、ショーの動画を見ながら、気になる商品をクリックすると、ディテールや商品情報(品番や値段など)を同時に確認でき、さらにオーダーすることも可能です。

つまり、ファッションショーの会場から遠く離れた自宅のパソコンで、配信されたばかりのショーを見て、新作をオーダーできる仕組みができつつあるのです。これは進化したITの恩恵を取り入れ、本来、ファッションショーが受注会を兼ねていた時代の仕組みを現代風にアレンジすることで、かつての姿を取り戻し始めたと言えます。そんなふうに、今、ITによって、消費者とブランドが直接つながる新たなファッションショーの形が生まれ始めています。

ナオヨ マディソン ファッション ジャーナリスト

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ナオヨ マディソン / Naoyo Madison

青山学院大学 国際政治経済学部卒業。大手総合商社に入社し、配属先の繊維本部で欧州系インポートブランドを担当。その後、パリ ソルボンヌ大学に留学する為に渡仏。帰国後は、ラグジュアリーブランドを扱うセレクトショップでアシスタントバイヤーとして勤務した後、イタリア系ブランドのジャパン社に転職。数社にてキャリアをつみ、MDバイヤーとして活躍。現在は、ジャーナリストとしてロンドンやパリをはじめとする国内外のファッションショーをまわり、ランウェイレポートやインタビュー、ファッションビジネスを中心とした記事を執筆する。

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