ポーラ「リンクルショット」で苦境打破する事情 シワ予防が気になる30代がターゲットに

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さらに、風評被害も受けた。中国現地のニュースメディアで「インナーロックに発がん性物質が含まれている」というニュースが流れたのだ。ポーラはこの報道を「フェイクニュース」と否定しているが、結果として、子会社・ポーラの2019年第3四半期(2019年1~9月期)のインバウンド売上高は前年同期比で24%減少にとどまった。

EC法の影響は化粧品各社でまちまちだ。コーセーの2019年4~9月のインバウンド売上高は、前年同期比20.3%減の114億円だったのに対し、資生堂の2019年1~9月期は前年同期比で5%増だった。資生堂の場合、インバウンド売上高に占める転売業者への売上高は2割にすぎず、影響が少なかった。

課題はラインナップの充実

ポーラは苦戦気味の業績を復調させるため、ジオセラムの販売に力を入れる構えだ。

2020年1月発売のジオセラム(左)と2017年発売のリンクルショット(右、記者撮影)

ただ、課題もある。ポーラで発売しているシワ改善化粧品はリンクルショット、ジオセラムともに美容液だ。一方でライバル会社は美容液以外に化粧水やジェルなど、さまざまなラインナップを取りそろえている。消費者は顔を保湿するために美容液のみならず、化粧水などさまざまな基礎化粧品を組み合わせて使っているが、ポーラはそうしたニーズを取りこぼしている。

ポーラの山口氏は「リンクルショットに含まれているニールワンは、化粧水への応用が難しい。ただ、アイテム数の拡大は意識しており、研究開発を進めている」と話す。

大ヒットとなった商品の第2弾、ジオセラムで「2匹目のドジョウ」をつかむことができるか。まずは30代の若者層にどこまで効能を訴求できるかがカギを握る。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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