人類は資本主義を本当にこのまま続けられるか 斎藤幸平と水野和夫が次の社会を構想する

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斎藤:先日、国連のスピーチで注目をあびたグレタ・トゥーンベリさんの言っていることも同じです。16歳の少女が、「あなたたちはお金や無限の経済成長というおとぎ話ばかり繰り返している。空約束ばかりで、結局、何も変えていないし、何も諦めようとしていない」と痛烈な批判をしました。

今の大人たちは、自分たちの快適な生活を続け、その否定的な帰結を将来の世代に押し付けているからです。それを聞いたって、小泉進次郎環境大臣もアメリカのドナルド・トランプ大統領も聞く耳を持たない状況では、上から政策を変えることに大きな期待は持てません。

資本を社会化するためのアイデア

水野:しかしながら、再生エネルギー100%を求める運動が下から立ち上がってくるかというと、なかなか難しい気もします。

斎藤:簡単ではないと思います。ただ、ヨーロッパでは若い世代が学校ストライキをして声を上げています。自分たちが大人になったときに苦しむのがわかっているのに、今の大人たちは何もしない。そういう現状に対して、ノーを突きつけているのですね。

1年ほど前、グレタさんが1人で始めた抗議活動が、国連の気候変動サミット開催直前には、世界中で400万人がストライキやデモに参加する規模になりました。これは1つの希望です。

とはいえ、なぜ日本で気候変動に対するアクションが大きくならないかというと、やっぱり定常社会や脱成長というと、どこか清く貧しくというイメージが強いからかもしれません。

水野:成長を求めて悪あがきすることで、超富裕層をのぞく圧倒的多数の人が貧しくなるのは、この20年、30年を見ても明らかです。それでもなかなか成長教から抜けられないんです。

私自身は、「閉じた経済圏」への橋渡しとして、株式への現金配当を廃止することが重要だと考えています。現金の代わりに、株主には現物サービスを配当する。そうすれば、現物サービスではメリットを享受しにくい外国人株主は自然と遠のくでしょう。そうすれば、ROEを上げろ、10%以上にしろと恫喝するような風潮が消えていく。

もし企業が利潤率(ROE)を現在の地代(リートの利回り)以下にするなら、ROEは3%あれば十分だと考えられます。金額にしておよそ40兆円。これを人件費に振り替えれば、人件費をだいたい2割ぐらい増やすことができます。

家計はその一部を地域の銀行に預けて、銀行が株主となって地域の企業を支えればいいんです。つまり、これは地域の住民が出資者になることですから、利子として現物サービスの配当を受けることになるわけです。

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