2020年大統領選はトランプ対ウォーレンなのか 支持者を増やしてきたウォーレンの正念場

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今後、勝利を左右すると思われるポイントについて整理したい。

(1) 序盤戦で勝てるか

州ごとに予備選が行われるが、序盤戦のアイオワ州とニューハンプシャー州の選挙結果は重要だ。1972年以降、両州を落とした候補者で党の指名を獲得できたのはビル・クリントン元大統領(1992年民主党予備選)のみ。

メディアは序盤戦を大きく取り上げて勝者と敗者を明示する。上位につけた候補者は選挙資金や有力者の支持を確保することが容易になるため、その後の予備選から勢いを増す。世論調査会社メルマングループによると、有権者は序盤戦で勝利した候補がその後も勝利を重ねると確信するという。

2008年大統領選の民主党予備選では開始までヒラリー・クリントン候補がオバマを約20ポイント、リードしていた。だが、その情勢が一変したのが予備選初戦アイオワ州でのオバマの勝利であった。ここでの好成績でオバマは一気に「勝てる候補」として注目を浴びることとなった。

2020年大統領選の民主党予備選は、例年以上に重要といえよう。民主党有権者はトランプ大統領と対決して勝てる候補であることを最も重視しているからだ。自らを勝てる候補としてアピールしてきたバイデンが序盤戦で苦戦し、ウォーレンが1~2位の上位を獲得できた場合は、ウォーレンが勢いを増すだろう。

(2) 支持層を拡大できるか

現在、ウォーレンの支持層はリベラルな高学歴の白人だ。一方、バイデンが最も強い支持層は45歳以上の中・高齢層、黒人、穏健派などだ。そしてサンダースを支持するのは白人の若年層が多い。

ウォーレンは夏以降、中・高齢層の一部にも支持を拡大しているものの、非白人層の支持拡大はほとんど見られない。序盤戦のアイオワ州とニューハンプシャー州では有権者の9割以上が白人であることから、ウォーレンには比較的有利だ。だがニューハンプシャー州の2週間後に開催されるネバダ州、そしてその翌週のサウスカロライナ州の予備選では非白人が増えるため、現状のままではウォーレンの苦戦が予想される。

(3)他候補の選挙戦離脱のタイミング

バイデンは今後の失速も予想され、資金集めでも徐々に懸念が高まっている。一方、サンダースは熱狂的なファンに支えられ、資金集めでは民主党トップであり、当面は残りそうだ。だが、サンダースとウォーレンは民主党リベラル派の票を分け合っているため、サンダースが早期離脱すれば、一部の熱狂的なサンダース支持者を除き、多くがウォーレンに流れる可能性がある。今月初めに撤退を表明した前下院議員のベト・オルーク候補のように、他の白人系大学卒の支持を受けてきた候補者が離脱すると、ウォーレンが恩恵を享受するだろう。

次ページ民主党は「とにかくトランプ大統領を追い出したい」
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事