安倍首相の提唱する『日本版NSC』は実現できるか?

元祖アメリカの「NSC」とは?

 アメリカのNSCは、米国大統領に直属し、外交、防衛政策上の重大問題を検討、政策を策定するための機関であり、1947年に国家安全保障法に基づき成立しました。NSC創設の背景には、第二次大戦中、特に太平洋における日本との戦闘において、陸軍、海軍、空軍の連携が少なく、三つの軍の統合的運用の必要性を認識したという点がありました。それでも、アメリカ軍は旧日本軍に比べればはるかに統合されていたと思いますが、やはりアメリカはトップダウンの集権体制を好む傾向があるようです。

 NSCの機能は、国家安全保障法に次のように規定されています。

(1)大統領に、国家安全保障に関連する国内、対外、軍事の各政策の統合に関して助言することにより、軍部と政府の省庁とが国家安全保障関連事項に関して、より効果的に協力できるようにする。

(2)国家安全保障に関係する政府の各省庁の政策と機能を、より効果的に調整する目的のために、大統領が指令できるようにする。

(3)米国の目標、関与、危険を評価し鑑定する。

(4)国家安全保障に関して、政府の各省庁に共通する利害に関わる政策を検討する。

このように、アメリカのNSCは軍と政府そして省庁間の政策調整、そして、大統領に対する助言を主な機能としています。

 ただしその役割は、その時々の大統領の政権運営によって変わっています。たとえば、ニクソン政権では国家安全保障担当大統領補佐官にヘンリー・キッシンジャーが就任し、ニクソン訪中を実現するなどトップダウンの外交政策を展開しました。一方、ケネディー、レーガン政権下ではNSCは軽視され、その規模は小さなものでした。

 アメリカのNSCのメンバーは、大統領、副大統領、国務長官、国防長官から構成され、この他に、統合参謀本部議長と中央情報長官が助言者として参加します。

 NSCのスタッフ数は、政権によって異なり、たとえば、クリントン政権では総数208人ものスタッフがおり、101人の政策要員と107人の管理支援要員から構成されていました。

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