安倍首相の提唱する『日本版NSC』は実現できるか?
「ゴレンジャー」といわれる5人の首相補佐官
安倍総理は、首相補佐官を設置し、首相官邸をアメリカの「ホワイトハウス」にしようと考えているようです。
「5人って誰?」と思われる方は多いでしょう。
そのメンバーは、広報担当の世耕弘成さん、安全保障問題担当の小池百合子さん、教育再生担当の山谷えり子さん、経済財政担当の根本匠さん、拉致問題担当の中山恭子さん、となります。そして、安全保障担当の首相補佐官を中心として、アメリカと同じような「NSC: National Security Council(国家安全保障委員会)」を設置する計画のようです。新聞記事などによると、安倍総理が総理大臣になる前に、北朝鮮の拉致問題を解決するべく、アメリカのNSCの中心であるハドリー安全保障担当大統領補佐官と連携する中で、首相補佐官を中心とした日本版NSCを考えるようになったといいます。
今年10月時点で、日本版NSCは首相官邸主導の外交・安全保障政策を目指し、まず現行の安全保障会議の強化を行い、専従スタッフを10人程度拡充して、独自の情報分析や政策立案を行うとしています。
この方向に、私は大賛成です。
そもそも、外交が各省庁バラバラに進められていること、外交情報が公開されないことは問題ですし、(私の理解が浅いことも理由でしょうが)、『わが国の外務省は、外交戦略と外交政策を明確に提言できていない』といつも感じています(個人的には、日本に外交政策の独立シンクタンクがないことが最大の理由だと考えていますが)。
拉致問題に取り組んだ安倍首相は、外務省や関係省庁の対応にもどかしさを感じ、「日本版NSC構想」にたどり着いたのではないかと見ています。ぜひとも、防衛安全保障だけでなく、エネルギー安全保障、食糧安全保障、通商戦略も対象とする総合的な外交戦略を作ってもらいたいと思います。
では、日本版NSCは、安倍首相が「創りましょう!」と呼びかければ、すぐにできるものなのでしょうか?
やはりそれは簡単には行かないはずです。すでに、小池補佐官の動きと外務省や防衛庁との関係をどうするのかといった問題が生じており、他にも色々な課題があります。