初めて飼う犬に「保護犬」を選んだ彼女の選択 飼ってみたら…「全然普通の犬と変わらない」
あんずに会った晩に、申込書を希望した。里親会に行くまではとても緊張していたのが嘘のようだった。
オカメに一目ぼれした私は、すぐに里親を申し込んで、家族になった。実際、オカメがわが家にきてから大変なことは1つもなかった。もちろん、玄関のチャイムが鳴ればほえることもあるし、トイレを覚えさせるのにも3週間かかったけれど、ほかに大変だったことは何もなかった。
オカメは、初心者でもするりと飼える犬だった。ボランティアさんはそれを見越してお見合いをすすめたのだろう。
オカメに限らず、私がお世話になったボランティアさんは、犬の性格を深く理解し、里親になろうとしている人たちのライフスタイルをしっかりみた。それぞれの家庭と犬の相性を考えているのだ。おかげでオカメと家族になるのはスムーズだったし、信頼関係を築くのにも時間はかからなかった。これで、私は「保護犬普通だな」というハートが出来上がったのである。
「保護犬」という言葉で見えない壁ができた
もちろん保護犬の中には、繊細な性格の犬もいる。次回以降改めて書くが、5年半後に迎えた2匹目のギー(元野良の雑種犬)にはいろいろ困った。
なので「全然普通」っていうのも犬たちに失礼なのだが、オカメを迎えて自信のついた当初、私はこう言って回った。『みんな、保護犬を飼いましょう』と。自分のFacebookに投稿しました。熱く熱く投稿しました。私の投稿を読んだ友人知人が、ペットショップに行かず、里親会に行くことを望んで。
でもそんな熱意とは反対に、投稿後に犬好きの友人知人たちがサーっと私の周りから離れていった。緊張させちゃったのだろう。みんな楽しく犬と暮らしたいだけなのに。私だってそうだったのに。
こういう経緯で、おじけづいた経験をもつ私は「保護犬」という言葉を避けている。漫画の中でもなるべく使っていない。『保護犬と私』って感じの漫画にしたら、また緊張させてしまって、楽しく犬と暮らしたい人たちに読んでもらえないんじゃないかと思った。
漫画は、2匹目のギーが来てからWEBで始めた。保護犬への熱意やメッセージではなく、元野良犬であるギーとの日常を描くことにした。
それを読んでくださった方の感想が「やっぱり保護犬って大変そう」でも「この作者でもいけるなら自分もいける」でもよかった。
読む側のタイミングで、心がどこかしらに動いてくれやしないだろうか。そう思った。その人の心のリモコンは、その人の中にしかない。
オカメが病気になってしまったのは、そうしてギーの漫画を描き始めてから、たったの半年後のことだった。
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