シエンタ絶好調でも、「C-HR」が大苦戦する理由 トヨタの主力車種で明暗が分かれた背景

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販売不調の原因は、現行クラウンのクルマ造りにある。従来型の平均年齢が65~70歳に高まり、若返りをねらって外観をスポーティーな方向に発展させた。グレードも伝統的に人気の高かった豪華志向のロイヤルサルーンを廃止して、スポーティなRSを前面に押し出している。

プラットフォームはレクサスLSと共通化され、走行安定性を大幅に向上させたが、従来の柔軟な乗り心地は薄れた。結果的に運転感覚と車両全体の雰囲気が、メルセデス・ベンツEクラスの方向へ進化した。

運転するといいクルマになったと思うが、従来のクラウンらしさは弱まった。クラウンも高価格車だから「これなら予算を少し上乗せして、メルセデス・ベンツEクラスにしようか」と思わせてしまう。そこで販売回復を目指し、2019年7月にはエレガンススタイルという豪華志向の特別仕様車を加えた。

唐突感が生じる車は、安定的に売りにくい

C-HRやクラウンを安定的に売るには、従来型やほかのトヨタ車からの乗り換えをスムーズにする配慮が必要だ。今は新車需要が安定期に入り、乗り換えに基づく購入が80%前後に達する。そうなると唐突感が生じる新型車は、安定的に売りにくい。

とくにクラウンは、先代型と比べて変化の度合いが大きすぎた。せめて先代型からの懸け橋になるようなグレードが必要だ。

ちなみに昔のトヨタでは、カローラを最初に購入して次はコロナに乗り換え、さらにマークII、クラウンへと進むエスカレーター方式があった。カローラとコロナ、コロナとマークIIでは質感にわかりやすい違いを持たせ、ユーザーの上級移行を促す。

儲け主義のようにいわれたが、ユーザーは自分の出世や生活環境の変化に応じて、トヨタ車を乗り継ぎながら満足度を高めることができた。カーライフにストーリーがあった。今はこのような仕立てが求められている。

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