「のれん代」が減損する失敗M&Aの特徴は何か

買収パターンを4分類し、減損要因を分析した

近年増えているM&Aですが、買収後の統合プロセスがうまくいかないと、のれんの減損処理を余儀なくされることもあります。写真はイメージ(写真:EKAKI/PIXTA)

M&A(合併・企業買収)や投資ファンドによる企業買収が盛んに行われるようになった現在、「のれん」の存在が大きくなってきている。のれんとは企業を買収・合併する際に発生するもので、被買収会社の純資産額と買収価格の差額として資産に計上される。無形資産の一種だ。

近年、M&Aの大型化を背景に、巨額の「のれんの積み増し」が世界的に懸念の的となっている。日本の会計基準では、のれんは一定の期間をかけて損益計算書で費用として償却するルールとなっているが、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(SEC)では定期償却をしない。

そのかわりに、IFRSやSECでは決算ごとにのれんが収益を生み出しているかチェックし、収益に貢献していないと判断されれば、損失として計上(減損処理)するルールだ。なお、日本基準でも定期償却と同時に減損を行うこともある。

2018年、IFRSを策定する国際会計基準審議会(IASB)がのれんの償却を導入する検討に入り、2021年にも結論を出すというニュースがあった。現行のIFRSでは日本基準と異なり、のれんは減損が生じない限り貸借対照表に計上され続ける。例えば、製薬業界や飲料業界・IT業界などでは数千億円や兆円単位の大型M&Aが相次いでいる。巨額ののれんを抱えたグローバル企業は、巨額の減損リスクも抱えているといえる。

減損は過去の遺物とは限らない

のれんは「過去」に行ったM&Aの遺物ではあるが、減損が生じたときの「現在」や「将来」へのインパクトが非常に大きい。のれんの減損は、投資家やアナリストにとって大きなネガティブインパクトとなり、公表の仕方を誤ると株価の急落を招くこともある。

では、この減損を回避する方策はあるのだろうか?

本記事では、買収前にすでに決まってしまうのれんの減損リスクがテーマだ。筆者が、過去に早稲田大学大学院経営管理研究科の山田英夫教授と共同研究を行い、のれんの減損要因について調査した結果を基に、どのような形のM&Aで減損する確率が高くなるのかまとめた。

本研究では、IFRS(国際会計基準)を採用する日本国内企業を対象に、1996年1月から2018年3月までのM&Aを1917件調査した。そして、M&Aの種類を4つに分類し、「国内・同業種」「国内・異業種」「海外・同業種」「海外・異業種」における、減損の発生頻度を算出した。この場合の「異業種」とは、顧客あるいは商材が、買い手と異なるものと定義した。また、商社については、さまざまな業種に出資をしているため、今回は分析対象外とした。

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