児童相談所「1人で100例」担当する職員の過酷さ 常に板挟み、警察に訴えられ脅されることも

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親御さんといい関係を築けたと思って子どもを家に帰した途端に、児相の電話や訪問に応じないなど、手のひらを返されたこともありました。

児相職員には、親御さんからすごい勢いで責められたときにも、毅然とした態度で対応することが求められる。

なので、若手職員の育成について言えば、いざとなったときに先輩職員がバックにいるという安心感が大事です。

また、子どもを保護している一時保護所も定員オーバーなので、保護してからの対応をはやく決めなければなりません。

ただ、施設もいっぱいですし、里親もまだまだ数が少ないのでなかなか見つかりません。いつもあらゆるところに頭を下げているような感じです。

東京都福祉保健局が配布しているしおり(写真:リディラバジャーナル)

子どもを取り返しにくる保護者などから守るためのことではありますが、保護されると、スマホが使えなくなる、友だちと会えなくなる、学校に行けなくなるなど、子どもにとっては不利になることもあります。なので「保護してくれてありがとう」と言われることも滅多にないです。

こうした状況でどうやって人材を確保していけばいいんだろうとは思います。

ケースによっては、担当者も一生のこころの傷に

何より、虐待によって子どもが重篤な状況になってしまったときは、担当者にとっても一生、こころの傷になります。

だからこそ、相談のきっかけが些細なことのように思えても、例えば周りに子育ての手伝いをしてくれる人がいるのかどうか聞くなど、丁寧にヒアリングをすることを大切にしようと心に留めています。

その人の状況に合わせて、いざというときに相談できる場所をお伝えするだけでも、リスクを防ぐことになるかなと思います。そういった想像力は大事ですね。

しんどいことも多いですが、一方で子どもや家庭と長く付き合っていると、家庭から離れてよかったとか、親と対峙できてよかったよと、子どもが話してくれることもあります。

ある日、子ども本人から「高校に受かった」と連絡がきたこともありました。同じ地区を7年間担当していたのですが、長く続けていると、子どもも、親御さんも、自分も成長していくんだなと実感しました。

――インタビュー後編では、虐待が起きてしまう家庭の事情や、里親開拓、子どもの自立支援のための取り組みについて聞きました。後編はこちらからご覧ください。

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「リディラバジャーナル」編集部

「リディラバジャーナル」は社会問題の現場を訪れるスタディツアーを提供しているリディラバが2018年1月に立ち上げたウェブメディア。社会問題を見続けてきたリディラバの知見をもとに、問題の背景にある社会構造まで踏み込んだ、特集形式で記事を提供する有料メディアです。

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