人生にお金はいくら必要? 1分でわかる計算式 老後の安心に必要な現役時の貯蓄額を求める

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お金は人生の目的ではなく、単なる手段です。いかに便利に、必要に応じて合理的に取り扱っていくかが大切です。そのためには、まず、自分がいくら貯蓄していかなければならないかを知ることです。今の収入は、現在の生活を支えるお金であると同時に、将来の自分を支えるお金でもあるからです。現役時代に稼いだお金の一部を将来に備えて貯めておいて、老後はその蓄えを取り崩すということです。

また、必要貯蓄率は、ライフプランの変化があれば変わってきますので、必要に応じて何度も計算し直すことも必要です。

さて、「人生設計の基本公式」は、誰でも簡単に自分の必要貯蓄率を求められるツールです。これまで、セミナーや個人相談でも実際にこの公式を使って計算し、また、使い方をお伝えしてきました。手前みそながら、「このシンプルな式は使える!」と実感しています。その理由は大きく3つあります。

1つ目は、すべての人にとって大切なのは、平均値に基づく老後資金のメドではなく、自分の数字で必要額を計算することです。その計算方法を知ることこそが「人生のお金の問題」を解決する第一歩なのです。つまり、必要貯蓄率が守れていれば、今後、お金について大きな問題が生じることはありません。いたずらに老後不安におびえる必要もなくなるのです。

2つ目は、老後に必要な資金をつくっていくとき、「自分が受け取ることができる公的年金額を計算に入れること」が重要だということです。「老後の必要な資金は人それぞれ」というのは、言い換えれば、公的年金がいくらもらえるかによって貯めるお金は違ってくるということです。

必要貯蓄率がわかれば、自由に使える懐具合もわかる

最強は老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取れる正社員の共働き夫婦です。公的年金は、受給要件を満たせば、必ず生涯受け取れますので、その分、今後貯めていかなければならない金額は抑えられます。一方、自営業者の方は、公的年金額が少ないので、より多くの貯蓄が必要です。「人生設計の基本公式」は、それぞれの公的年金額を計算式に入れて必要貯蓄率が求められる設計になっています。

もし、年金を受け取れないとしたらどうでしょう? 必要貯蓄率はとてつもなく高くなります。試しに、「人生設計の基本公式」で公的年金額をゼロにして計算してみてください。公的年金を受け取る場合と同等の生活水準を維持したければ、現役時代の半分以上を貯蓄していかなければならないことがわかります。つまり、現役時代の余裕がなくなるどころか、かなり生活水準を下げなければいけません。

公的年金は、老後生活費の柱となる心強い保険です。公的年金の受給額を算入して必要貯蓄率を考えることで、現役時代に、毎月、いくらまでなら自由に使えるのかがわかります。その範囲で、安心して必要な消費をすればよいのです。

次ページ実際に「人生設計の基本公式」で計算してみよう!
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