あのトヨタが自動運転で頼った「黒子の正体」 ベンチャーの技術が東京オリパラ車両に採用
2018年のCESで豊田社長は「イーパレットは(TRIが開発中の)ショーファーモードによる自動運転によって制御される。パートナー企業の希望によっては、代わりに各社独自の自動運転ソフトウェアを搭載することも可能」と述べている。
イーパレットは利用用途に応じて、求められる制御技術やセンサーの種類や数も変わる。走行するのは限定エリアか公道か、市街地のみか高速道路を含むかなど、サービスを提供する企業のニーズに基づいて車両をカスタマイズする余地がある。自社技術で完全に囲い込むのではなく、ユーザーの使い勝手を重視することで、むしろ多くの企業にイーパレットを使ってもらう戦略だ。
コモディティ化する自動運転技術
こうした戦略はかねてオープンイノベーションに価値を置いてきたティアフォーとも重なる。ティアフォーは2018年12月にオートウェアの標準化を目指す「オートウェアファウンデーション」を結成。アメリカのインテルや中国ファーウェイ、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADなど有力企業が多数参画する。自動運転開発ではウェイモがトップランナーだが、ティアフォーは世界中の1000人以上のエンジニアと連携することで、性能と安全性でより高い競争力を目指す。
ティアフォーの加藤会長は「小さな組織や個人でも自動運転車を造れるようにしたい」と話し、自動運転技術の民主化を会社のミッションに据える。このミッションが実現すれば、自動運転技術は「コモディティ化」することになる。
加藤会長はそれを理解した上で、「自動運転が普及する将来は車内のエンターテインメントが付加価値を生む」と考えて、車外の景色を使ってゲームを楽しめるVR(仮想現実)/AR(拡張現実)技術を開発、特許も取得している。
設立から4年に満たないベンチャー企業が世界首位級の自動車メーカーと肩を並べて協業する。この現実こそがまさに自動車業界を襲う100年に一度の変革期なのだろう。
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