アメリカの若者に広がる家選びの「こんまり流」 高騰続く住宅価格は日本流の狭小で解決

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カリフォルニア州ベニシア市に2020年初に完成予定の「HOMMA ONE」。スマートホーム技術をビルトインし、入居後すぐに使える状態になっている(提供:HOMMA)

全米でいちばん住みたい町として人気のポートランド。人口増加が続くオレゴン州の都市で、日本流の狭小住宅プロジェクトが動き始めている。ハーフエーカー(2000平方㍍)の土地に建っている一軒家が取り壊されて、2021年には18軒の新築住宅が建設される予定だ。

1軒当たりの面積は100~120平方㍍と小ぶりで、販売価格は約4500万~6000万円を想定している。中心部までは車で10分かかるが、家にはガレージがない。「ライドシェアや自転車の利用を考えている」と説明するのは、プロジェクトを進めるHOMMAの本間毅CEO。

HOMMAはシリコンバレーに本社を構える2016年創業のハウステックベンチャーで、住宅建築からソフトウェア開発までを垂直統合で手がけている。

アメリカでは大きな家が好まれ、住宅面積200~300平方㍍を超える物件が数多い。そんな市場で小型住宅のニーズがあるのか疑問だが、「ミレニアル世代(1980年以降に生まれた世代)にはミニマリストが多く、小さな家でも都心に住みたがる人が多い」(本間氏)。

彼らは服やクルマなどモノの所有に興味を持たず、必要最低限のものに囲まれた生活を好む傾向がある。アメリカで起こった「こんまり(片付けコンサルタントの近藤麻理恵)人気」も、多くのミレニアル世代に支えられている。

住宅とサービスを連動させる

人口増加を受けてポートランドの住宅価格は、高騰の一途をたどる。HOMMAは「都市型のプレミアムコンパクト住宅」をコンセプトに掲げ、日本流の狭小住宅のノウハウや収納、間取りの考え方を取り入れることで、買いやすい価格での提供を考えている。

そのうえですべての住宅をスマート化し、家のカギを明けると自動的に照明や空調が作動したり、家のセンサが照度を理解して照明を自動調整できるような機能を搭載する方針だ。

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