『上司に転職を申し出たところ…』(32歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談

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<城繁幸氏の診断>

診断:『立つ鳥後を濁さずとは言うものの』

 結論から言ってしまうと、上司の判断はまったくなんの拘束力も持ちません。退職の意思表示については、就業規則に「~日前までに申し出ること」と明記してあるはずです(通常、二週間から一ヶ月程度)。あなたの場合、三ヶ月前に通告しているわけで、理論上はもういつでも退職可能です。

 ではなぜ上司は認めたがらないのか。おそらく、社内での政治力が弱く、後任の確保ができないか、あるいは部員の再配置などの努力を怠っているのでしょう。どっちにしろ、それはマネージャーとしての能力不足ですから、従業員が責任を持つ必要は一切ありません。

 かつて、この国において転職は“非日常的なアクシデント”でした。現在50代の企業役員で、30年前に転職した方曰く、「当時は前職はもちろん、転職先でもスパイのような扱いをされた」とのこと。それだけ新卒で入社し、定年まで勤めることが一般的だったわけです。

 当然、そういうカルチャーの中では、部下のマネジメントなんて頭を使う必要はないわけで、仕事をただ与えるだけで誰でもマネージャーが務まるわけです。

 やれ「もっとやりがいのある仕事をしたい」だの「なぜ自分の評価がCなのか説明しろ」だの、まして「来月転職しますので後任お願いします」なんて、働き盛りの中堅社員から突然言い渡される事態は、まずありえなかったのです。
 
 ですから、そういう世代のオールドマネージャーの中には、こういったごくごく常識的なマネジメント力が完全に欠落した方が、割と見受けられます。その上司も、おそらく年功序列時代に管理職に昇格された方でしょう。

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