パーク24「カーシェア予約困難」解消の秘策 カーシェアとレンタカーの強みを融合した

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そこで考え出されたのが、自社の既存事業であるレンタカーから車両を融通する手法だ。

「レンタカーの在庫車両から車種も指定できるようにしていきたい」と話すタイムズモビリティネットワークスの大塩剛司専務(記者撮影)

パーク24の子会社でモビリティ事業を運営するタイムズモビリティネットワークスの大塩剛司専務は、「従来のカーシェアでは1スペース(車室)1台の予約しか取れず、それ以上の需要があっても取り込めなかった。タイムズカーでは1車室に対して何台でも提供でき、より多くのニーズに応えることができる」と狙いを語る。

レンタカー事業では、店舗だけでなく、店舗から2キロメートル圏内に多数の在庫車両を抱える「バックヤード」を持っている。予約が入れば、そこからカーシェア拠点までICカードで解錠ができる車載器が付いたレンタカー車両をスタッフが移動させる。

チャイルドシートなどのオプション希望があれば、レンタカースタッフが装備する。現在保有するレンタカー車両約3万6000台のうち、10月末までに1万台をタイムズカー用に振り向ける予定だ。

10月末までに全国240拠点まで拡大

とはいえ、車両をスタッフが移動させるなどのコスト負担を考慮すると、買い物など短時間利用のたびに対応していては採算が合わない。「予約が取れないというお客様の声が最も多いのは数時間などの利用」(大塩常務)のため、3時間以上など一定の長時間利用に限定して「タイムズカー」サービスを提供する方向で検討している。

まずは10月1日から東京や大阪といった大都市や空港などで本格的に開始し、10月末までに全国240拠点まで増やす予定。当面は従来型のカーシェア、レンタカーのサービスも残るが、新サービスに順次切り替えていくという。

カーシェア事業はレンタカー大手のニッポンレンタカーのほか、トヨタ自動車や日産自動車なども参入するなど、車を保有せずに使いたいときに利用する時代が到来している。国内最大70万台超の駐車場という競合他社にはない資産を武器に、パーク24は「使いたいときに使える」サービスを実現できるか。

【2019年10月15日12時03分追記】初出時の記事における大塩剛司氏の肩書きや一部表現について修正いたしました。

岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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