「夢があっても一生実現しない人」の最大理由 僕が「サードドア」で本当に伝えたかったこと

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19歳の若者がアソシエイトになったのは僕が史上初めてのことで、当時は大きなニュースになりました。『フォーブス』誌や『フォーチュン』誌などにも取り上げられるようになり、それがきっかけでほかのベンチャーキャピタルも若手のアソシエイトを雇うようになりました。『サードドア』はそういった意味でも、架け橋になっていたと言えます。

ベンチャーキャピタルでは、投資のことやテクノロジーなどを学んで、とてもいい経験をしました。ただ、そこで働いている間も、いちばん注力していたのは、やはり本を出版することでした。そこは会社も承知のうえで雇ってくれていました。数年働いた後で、100%執筆に集中することになり、退社しました。

ここで得た大きな学びは、2つのことを同時にうまくやり遂げるのは難しいということ。力を分散させるより、やはり1つのことに注力するほうがいいと考えるようになったのです。

お金と哲学、人生にはどちらも重要

――実業の世界でお金を儲けるより、人文や哲学の分野に興味があるということでしょうか?

アレックス・バナヤン/作家、スピーカー。1992年8月10日、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。大学1年生の期末試験の前日、アメリカの有名なテレビ番組『プライス・イズ・ライト』に出場し、世界で屈指の成功者たちから「自分らしい人生の始め方」を学ぼうと旅に出る。19歳のとき、シリコンバレー史上最年少のベンチャーキャピタルとなる。また、アメリカの大手出版社クラウン・ブリッシャーズ史上、同社と契約した最年少の作家となる。『フォーブス』誌「30歳未満の最も優れた30人」、『ビジネス・インサイダー』誌「30歳未満の最もパワフルな人物」に選出(撮影:梅谷秀司)

お金と哲学。どちらも一生のものですから、明確に分けて考えられるものではないと思います。お金を稼ごうという考え方がなければ、ベンチャーキャピタリストになっても、うまくやっていけません。お金を稼ぐことと哲学をすること、人生には両方が必要だと思うんです。

僕はこう考えています。『サードドア』は、幸福とは何かを考える本として捉えてもいいし、お金持ちになるための行動を学ぶために使ってもいい。また、自分の生き方を変えていく手段としての参考書にしてもいい。自分のやりたいことや目標をどのように見つけ、それを掲げるのか。どうやってそこにたどり着けばいいのか。その手助けになりたいと思っています。

アメリカ人でも日本人でも、若者は夢を持ちます。でも誰もが同時に、それを本当に実行していいのかという葛藤も抱えているんです。だから「どんどんやっていいんだよ」と彼らの背中を押してあげられる本を書きたかった。

まずは自身の葛藤を乗り越え、そうしてはじめて外の世界に向かって挑戦していき、課題を乗り越えることができるんだよと語っているのです。『サードドア』は自らの恐れを乗り越える本であると同時に、自分に挑戦への許可を与える本なんです。

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