「夢があっても一生実現しない人」の最大理由 僕が「サードドア」で本当に伝えたかったこと

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――18歳で執筆に取り組み始めてから、2018年の刊行まで7年間ありました。その間、アメリカでは『サードドア』に関する活動はされていたのですか?

『サードドア』のオフィシャルサイトを立ち上げたのは2018年のことです。それまでの7年間は、ずっと「本を書いているんだ」とは言っていましたが、何について書いているのかはいっさい共有しませんでした。「出版します」ということだけを言い続けて、周囲に期待感を持たせたかったんです。

2つのことを同時にやるのは難しい

けれども、多くの人はこのやり方に賛成してくれませんでした。みんなイライラして、「何を書いているのかブログに書け!」と怒ったんです。それで仕方なく、2012年に本の内容に関するブログ記事を1つだけ書きました。すると、これがたちまちツイッターで拡散されてしまったんです。それ以降、内容について触れることはいっさいやめました。

執筆と宣伝という、2つのことを同時に進行させるのは難しかったんです。まずは執筆に集中して、うまくやり遂げたいという気持ちを強く持っていました。執筆に際しては、言葉の一つひとつを選ぶのにも非常に慎重になりました。最高の単語しか使わないと決めていたからです。

――本の中でも、メンターのエリオット・ビズノーさんが、「世の中を変える人間は、やみくもにネットに投稿しない」と語る場面がありましたね。

そう! それです! 「神秘(ミステリー)が歴史(ヒストリー)を作る」という彼のアドバイスに従ったんです。「SNSで拡散」と言われる時代ですが、やはり物事の段階によって、言うべきときとそうでないときを使い分けるべきだと思います。

例えばアップルのマーケティングキャンペーンを見てください。新しい機種が出る前には「まもなく発売する」ということしか言わないでしょう? でも実際に発売されると、センセーションを巻き起こす。僕はあのやり方が気に入っているんですよ。そのほうが、より質を高められます。そしていちばんのマーケティングになるのは、それが最高の本だということですからね。

ついに執筆を終えた現在の僕の仕事は、ひたすら講演・講演・講演です。おかげさまで、日本のアマゾンでは発売日にベストセラー1位を記録することができました。それをエリオットに報告したら、泣きそうになって喜んでくれましたよ。アメリカでは、8歳の子どもが読書感想文を書いて授業で発表してくれたりもして、幅広い世代の人に響いたと感じ、僕自身、感動しています。

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