最後に、女性部長比率を3期平均のROE(自己資本利益率)で分類してみた。
ROEは2013年3月期までの3期平均を使用した。ROE10%以上、5~10%未満、0~5%未満、マイナスの4つのグループに分け、それぞれ女性比率の平均値を集計した。企業規模による差も調べるために、売上高(3期平均)1000億円以上、100億~1000億円未満の2つに分けて分析した(下表)。
これを見ると、全体的にROEが高いほど、女性部長比率も高い傾向にあることがわかる。
売上高1000億円以上の女性部長比率はROE10%以上2.39%、同5~10%未満1.58%、同0~5%未満1.57%、マイナス1.09%とROEが高いほど女性部長比率も高くなった。
また、売上高100億~1000億円未満も、売上高1000億円以上と同じ傾向にある。ROE10%以上2.90%、同5~10%未満1.56%、同0~5%未満1.39%、マイナス1.18%と、ROEが高いほど比率が高くなった。
もっとも「ROEが高い業績好調な企業だから、女性活用の制度導入などが行われ、比率も高くできるのか」、あるいは「女性活用をしているからROEが高いのか」などといったことは、さらに統計的な分析も必要だ。だが、少なくともROEと女性部長比率には相関関係があるとはいえそうだ。
この分析は同じ条件で4年前にも行った(使用データは『CSR企業総覧』2010年版、財務データは2009年3月期まで)。そのときもROEが高いほど女性部長比率は高いという結果だったが、当時と大きく違うのが大手企業の数値向上だ。
4年前は売上高1000億円以上の女性部長比率の平均は0.91%(367社)だったのが、今回は1.68%(421社)と上昇している。一方で売上高100億~1000億円未満は1.68%(296社)から1.65%(344社)と若干低下した。女性部長比率の上昇は大手企業が中心であることがうかがえる。
東洋経済「CSR企業ランキング」の評価項目のひとつである人材活用についても、上位企業の女性関連比率が軒並み上昇した結果ここ数年差がつきにくくなり、今回は評価基準を大きく見直した。以前のレベルが低すぎただけともいえるが、大手企業を中心に一歩ずつ女性活用が進んでいる姿が、長期に数字を見ていると感じられる。
さて、小社では今回、ご紹介した女性部長数・比率などの情報をまとめた『東洋経済CSRデータeBook2014 ダイバーシティ推進編』を電子書籍で発行した。男女別、外国人の管理職、部長職、役員の人数・比率、将来の目標、社員の再雇用制度などダイバーシティ推進の取り組み情報を1210社掲載している(会社によって情報量の差はある)。ランキング結果と併せて日本のダイバーシティ推進について考えるための資料としてご活用いただきたい。
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企業評価の新たな視座として浸透してきたCSR(企業の社会的責任)。上場企業をはじめ有力1210社におけるCSRの取り組みを、国内最大規模のデータベースから各企業個別に紹介した、日本で唯一の刊行物。
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