まず、④は絶対にない。2013年からの黒田緩和で最も激しくやり尽くしたものであり、かつ効果がないことが最もはっきりしたものだからだ。
次に③だが、これはありうるが、株式やJ-REITを日銀が買い集めることは、経済・社会にとっては最も副作用が大きい政策なので、望ましくない。日銀が上場株の多くを保有しすぎており、ガバナンスも問題になっている。
そもそも、中央銀行がリスク資産を持ち続けるということはありえず、国債のように満期もないことから、出口戦略が極めて難しいという問題がある。投資家という名の投機家たちはこれを求めているが、いつかは売却しなければならず、買えば上がると期待するなら、売る可能性は暴落をもたらすので、長期的には株式市場などにとっても非常に悪い政策である。
まさに、現在はこの罠にはまっており、買い入れは必要もないし、副作用はすでに大きいので、日銀としてもすぐにでもやめたいはずだ。だが、買い入れ量を減らす示唆だけで、短期的には暴落をもたらす恐れがあり、減らすことができないままでいる。したがって、これを増やす、というのはありえないだろう。
さらに副作用が大きいのは国債の買い入れである。実際、日銀自身が痛感している副作用はこれであろう。現在、80兆円残高増加をメドに買い入れ、という看板は下ろしていないが、実際の買い入れ額は年額20兆円増加ペースである。いわゆるステルステーパリングだが(実際は残高増加幅を減らしているので、テーパリングではないのだが)、その看板を100兆円に増やすことはありえない。
残された手段は2つのみだが…
したがって、残されたのは①の短期金利の引き下げか、②の長期金利の操作目標引き下げしかない。実際、金融緩和政策というのは、要は長期金利を引き下げるために中央銀行が行う政策であり、国債の買い入れもまさにそれを直接的に行う、最も効果的な(最も弊害も大きい)ものである。
したがって、①か②の金利の引き下げが最もストレートな追加緩和策となるから、次回行われるとすればこの2つのどちらか、あるいは両方であろう。
しかし、②は実効性がない。現在、10年物国債の金利0%程度を目標値とし、上下0.2%の変動は許容する、というのが、公式のスタンスであるが、実際の市場では、マイナス0.3%を超えても放置していたから、目標値を明示的に下げるとすると、マイナス0.5%ということになってしまう。だが、それはあまりに影響が大きく、マイナス0.2%を目標として、上下0.2%という変動幅はそのまま、というのが現実的にはありうる選択肢だろう。
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