日本のテレビ番組「海外輸出」30年の歴史と展望 収益だけでなく盗作抑止やブランド構築にも

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

当時、韓国では日本の番組の剽窃・盗作が少なからず行われていた。しかし、同番組に関しては、番組企画や構成はともかく、番組内に挿入されるVTR映像(大自然での動物の生態を映したものなど)は簡単にまねることができないし、自前で撮影するにも大変なコストが必要だった。KBSは当初TBSにVTR映像の提供を申し入れたが、番組のコンセプトなどと抱き合わせる形で取引され、結果的にこれが日本初の番組フォーマット販売となった。

このように80年代になると日本の放送局はフォーマット購入のみならず、販売に乗り出していた。イギリスのメディア研究者・Jean Chalabyによれば、当時日本はすでに、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアと並び、世界でも数少ない番組フォーマット販売国の一つとなっていたという。

もっとも、当時はまだ「フォーマット権」という用語は定着していなかったようで、「わくわく動物ランド」が89年までに8カ国に販売されたことを伝える記事(朝日新聞1989年12月2日)では「番組企画権」という用語が使われている。

フォーマット番組のジャンルの広がり

90年代には東アジアを中心に日本のテレビ番組が人気を集めるようになり、日本の放送局にとって海外市場の存在が顕在化した。人気を牽引したのは主に若者向けドラマだったが、バラエティ番組にも波及し、TBS「風雲!たけし城」やテレビ東京「TVチャンピオン」などが販売された。当初は日本で放送されたものに各国で字幕や吹き替えなどの言語処理が加えられて放送されたが、やがて番組フォーマットとしても販売されるようになった。

いずれの番組も見た目にわかりやすい競争や挑戦、高度な技などが笑いや驚きを呼ぶ内容で、海外でも比較的受け入れられやすい性質を備えていたが、登場人物や題材をローカライズすることで各国の視聴者がいっそう親近感を覚える番組に変わった。それまでの「フォーマット販売=クイズ番組」という世界的な通念に対して新しい可能性を提示したのが、これら日本のバラエティ番組のフォーマット販売だったのかもしれない。

90年代後半になると映像メディアの多チャンネル化が進み、世界中の番組制作者が目新しい企画を模索するなか、他国の番組にも熱い視線が向けられた。そのような時期にフジテレビ「料理の鉄人」やTBS「しあわせ家族計画」など、海外の番組コンクールで入賞するバラエティ番組が登場したことの意義は大きかった。

それまで国際コンクールで称賛される日本の番組は芸術性の高いドラマか大型ドキュメンタリーと決まっていたが、「日本には面白い番組企画がある」という新しい評価が加わった。このような国際的な評価に後押しされる形で先の両番組ともフォーマット販売が進展した。

21世紀を迎える頃には「Who Wants to Be a Millionaire?」、「Survivor」、「Big Brother」、「Pop Idol」などが世界規模での成功を収め、フォーマット販売は放送関連の国際ビジネスにおいて、大きな位置を占めるようになる。

とくに「Survivor」や「Big Brother」のようなリアリティショーは世界的に隆盛し、その後のフォーマット販売される番組ジャンルにおける一大潮流となっていくが、日本からも日本テレビ「¥マネーの虎」やTBS「ウンナンのホントコ!」の人気企画「未来日記」などが現れた。

次ページ変容するフォーマットの意義
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事