ポルシェ初のEV「タイカン」は、何がすごいのか ワールドプレミアを世界3カ所で同時開催
それはインテリアも同様だ。昨年デビューした新型911にも似た水平基調のダッシュボード空冷時代の911へのオマージュ。しかしながらドライバーの目の前には16.8インチの湾曲タッチスクリーンディスプレイが置かれ、911では回転計のみ残されているアナログ計はついに廃されている。
その脇のダッシュボード中央、その手前、さらには助手席の前にまでタッチスクリーンが置かれるが、各種機能の呼び出しは「Hey, PORSCHE」と呼びかけるだけで起動できる音声入力でも可能だ。
「大事なのは直線の速さだけではない」
今回、まず発表されたのはタイカン ターボ、そしてターボSの2モデル。改めて言うまでもないが、両車とも本当にターボチャージャーが搭載されているわけではない。ポルシェにとってのターボは、ラインナップの最高峰であることを示す記号なのである。
いずれも前後アクスルにそれぞれ1基ずつ計2基の電気モーターを搭載する基本レイアウトは共通。リアモーターには2段ギアボックスが組み合わされ、各ギアが発進から100kmまでの鋭い加速と、その先の巡航を担うことで効率性を高めている。スペックはターボSで最高出力761ps、システム最大トルク1050Nm。0-100km/h加速は2.8秒、最高速は260km/hに達する。
詳しい人なら、この加速性能がテスラ モデルSに負けていることに気づくだろう。しかしながら前出のドエルナー氏は「大事なのは直線の速さだけじゃなく、総合的なパフォーマンスです」と、まったく意に介していない。さらに、その加速が単発に終わらず何度繰り返しても衰えないと強調する。
事実、ポルシェが7月に試作車を飛行場に持ち込んで行ったテストでは、静止状態から200km/hまで26回以上連続して加速を試みても平均加速は10秒を切り、最も速いタイムと遅いタイムの差は0.8秒にすぎなかったという。また、高性能車の指標となっているドイツ・ニュルブルクリンクでは7分42秒という最速ラップタイムを記録し、4ドアEV世界最速の座についた。
実は発表に先立って、筆者は上海で開催されたタイカンのテクニカルワークショップに参加。その際、テストドライバーが操るタイカンの助手席で、その走りを体感してきたのだが、世界中のプレスを乗せて1日中走行し続けていたタイカンは、アクセルオンとともに強大なトルクを発生してすさまじい加速を示し、さらに何度もドリフト走行を披露していた。
真夏のサーキットにもかかわらず、すぐにパワーがタレてスローダウンなんて素振りはまるで見せなかったのだ。
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