ポルシェ初のEV「タイカン」は、何がすごいのか ワールドプレミアを世界3カ所で同時開催
9月上旬、ポルシェがブランド初の電動スポーツカーとなるタイカンのワールドプレミアイベントが、北米、ヨーロッパ、中国の世界3カ所で同時に開催された。もちろん、この3つの地域はタイカンにとって主要市場なのだが、実は会場には、その中でも再生可能エネルギーの活用を積極的に推進している地域が選ばれていた。
北米の舞台はアメリカ・カナダ国境のナイアガラ。水力発電が盛んだ。ヨーロッパはドイツ・ベルリン近郊の太陽光発電に力が入れられているノイハルデンベルクが選ばれた。そして筆者も臨席した中国の会場は、福建省は平潭島の風力発電施設のそば。福州市の市街からバスで2時間近くも揺られて、ようやくたどり着いたのだった。ともあれ水力、太陽光、風力の3種類の再生可能エネルギーがそろえられたのである。
ドイツ・ポルシェAGのプロダクト&コンセプト担当副社長、ゲルノート・ドエルナー氏は「EV(電気自動車)は再生可能エネルギーで走らせなければ意味がありません」と断言する。ポルシェにとっての、そんなモビリティの未来に向けた決意が、この3極同時発表には秘められていたと言えるだろう。
電動化で実績を重ねてきたポルシェ
「ポルシェにとって今はピュアスポーツカーカンパニーからエクスクルーシブでスポーティーなモビリティの最も成功したプロバイダーへと転換していく重要な時期にあります。電動スポーツカーはブランドに完全にフィットします」と言うのは、ポルシェAG取締役会のオリバー・ブルーメ会長である。
実際、市販車では2010年にカイエン ハイブリッドを登場させ、またポルシェにとっては重要なモータースポーツの分野では919ハイブリッドにて2015~2017年のル・マン24時間レース3連覇を達成。今年からは電動レーシングカーで戦われるフォーミュラEにワークスチームを出場させるなど、ポルシェはプレミアムスポーツカーメーカーの中でも電動化にいち早く取り組んできたのだ。
そして、いよいよ市販が開始されるタイカン。そのデザインやコンセプトは、2015年のフランクフルトショーでお披露目されたコンセプトカー「ミッションE」に忠実と言っていい。サイズは全長4963mm×全幅1966mm×全高1378mm。同社の4ドアスポーツカーであるパナメーラより短く、幅広く、少し低い。誰が見てもポルシェであり、それでいて未来的なデザインは見事である。
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