トランプ政権の対中国政策が「劇変」している?

米中関係を楽観視する市場への強い違和感

一方、日本に対しては、自動車や農産品など、日米通商交渉第1弾は、概ね穏当な形で、9月25日(水)の日米首脳会談で実質的な最終決着をみた。ここでは、「為替条項」(自国通貨を意図的に安く誘導することを行なわないという取り決め)は盛り込まれなかった。ただ、今後は、医薬品やサービス分野などでも、日米間の交渉が進むと見込まれる。米政府内では、第1弾でも最近まで為替条項の盛り込みを希望していたとも聞いており、いずれ通商協議で先鋭化するリスクは否定できない。

また、根底に米ドル相場に対するトランプ大統領の不満があるのなら、通商協議など公式の交渉とは別に、いきなり「米ドルは高すぎる、円は安過ぎる」とツイッターなどに投稿する展開は、必ずあるとは言えないが、警戒はしておくべきだろう。

10月相場はどうなるのか?

さて、10月以降の相場はどうなるだろうか。今後の諸材料を踏まえると、残念ながら暗いものが多い。

国内では、10月1日(火)から消費増税が実施される。現実に、小売や外食の売り上げなどにどの程度の影響が生じるかは、すぐにはわからないが、消費者の心理を測る消費者態度指数は悪化の一途をたどっており、マインドが冷え込んでいるなかでの消費増税は、景気に打撃になるものと懸念される。なお、最新の9月の消費者態度指数は2日(水)に公表予定で、一段の心理の冷え込みが確認されるだろう。

一方、企業側のマインドは、1日(火)の日銀短観で確認できる。企業の心理も悪化していると懸念する。日本の企業決算は、2月本決算企業の半期分の発表が、足元で進んでいる。さらに10月から11月にかけては、3月本決算企業の発表が行なわれる。第1四半期の決算発表時は、通期の見通しを据え置く企業が多かったが、半年分を踏まえても収益が不振ということで、既に悲観的な見解を強めているアナリスト見通しに近づく形で、多くの企業が自社の収益見通しを下方修正するだろう。

また、英国のEU離脱(ブレグジット)の行方については、英議会が「合意なき離脱」に邁進しそうなボリス・ジョンソン首相の手を縛るため、19日(土)までに同国内でEU離脱の具体案がまとまらない場合は、英政府が離脱期限を10月末から来年1月末に延期するようEUに申請することを、義務づける新法を可決した。しかしジョンソン首相はその法律を無視することを示唆している。さすがに首相が法律を無視するわけにはいかず、離脱期限延期を申請しても、EUがそれを受け付けるかどうかは、不透明だ。

さらに、香港民主化の動きに対する香港政庁(その背景には中国政府)の対応は、今のところ沈静化している。ただしこれは、建国70周年を迎える国慶節休暇(1~7日)を意識したものだとの指摘があり、休暇明けに香港の民主化運動に対する姿勢が再度強硬化する恐れもある。

こうした諸材料の他にも、懸念材料は枚挙に暇がない。それに対して、足元までの日本株は堅調だったが、投資家別の売買動向を見ると、経済や企業収益の実態悪を踏まえて、海外長期筋が淡々と現物株を売る一方で、海外短期筋の先物買いで日本の株価全般が吊り上げられてきたという構図が見える。やはり当面の株価動向は、下方向を警戒した方がよいだろう。今週に限っては、日経平均株価は2万1000~2万1900円を見込む。

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