「個人間カーシェア」は日本で普及するのか 「所有から共有」への流れに対する期待と課題

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このような利用者の当事者意識が、事業者の想定を上回ることが、シェアリングエコノミー事業が成功するための必要条件となる。ライドシェアリングのウーバーやリフトでも事業の初期は、乗車の利益を運賃ではなく寄付金として捉え、乗せ手と乗り手との間でコミュニティーが生まれていった。その経緯を、筆者は実際に2014~2015年頃にアメリカで体験している。

アメリカでの過去事例、そして「Anyca」の現状から見て、「Anyca」はいま、スケール(事業の急成長)に入れるかどうかの正念場にいると感じる。スケールする過程では、現存するコアなコミュニティーを大切に維持しつつ、コミュニティーの拡大、または新種のコミュニティーが自然発生するための新たなる基盤づくりが重要になってくる。

CtoCカーシェアの応用編

そうした中、DeNA SOMPO Mobilityは8月から新サービス「0円マイカー」を始めた。これは、レンタカーとBtoCカーシェア、さらにCtoCカーシェアを融合させたような事業モデルだ。同社が個人に対してクルマを貸し出す。

その代わり、個人は自宅の駐車場スペースを提供し、この個人がAnycaの貸し手となる仕組みだ。クルマにはタイムズのBtoCカーシェアなどで採用されているカードリーダーを備えており、貸し手と借り手が対面しなくてもクルマの受け取りが可能だ。世界でも珍しい、CtoCカーシェア応用編である。

同事業の関係者は「まず都内で募集を開始し、これまでに契約は18台。関係省庁とは十分協議したうえで事業化した」と話す。

「Anyca」は現在までに、会員数が25万人以上、クルマの登録台数8000台以上、累積シェア日数13万日以上(DeNA SOMPO Mobility調べ)。CtoCカーシェア、はたしてスケールするのだろうか。その動向をしっかりウォッチしていきたい。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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