「個人間カーシェア」は日本で普及するのか 「所有から共有」への流れに対する期待と課題

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SOMPOホールディングとの事業連携することで、他車運転特約など新しい保険商品も投入する予定だ(筆者撮影)

自動車保険の拡充でわかるように、CtoCカーシェアを利用する際、最も気がかりなのが「個人にクルマを貸して、または個人からクルマを借りて、もしも事故やトラブルがあったらどうするのか」という点だ。

では、実際に「Anyca」を利用して事故は起こっているのだろうか。パーティー参加者の中で、利用回数が100回以上の貸し手数人に話を聞くと、車庫入れの際に前後バンパーをこするなどの軽傷の事例は、一定の割合で起こっているが、その割合はさほど高くなく、これまで「Anyca」の保険で修繕されたという。

中には、高級輸入車を新車で購入して4年後に「Anyca」に参加し、借り手がドアを大きく破損して、保険を使って100万円近い修理をしたケースもある。もちろん、これまで借り手にクルマを一度も傷つけられたことがない貸し手も数多くいる。

貸し手と借り手の交流

とはいえ、一般的な感覚では、たとえ保険があったとしても、自分のクルマが傷つくことを大きなリスクと捉える人が多いはずと思うのだが、パーティーに参加した貸し手の多くが、そうしたリスクについてさほど気にしている様子はない。

それどころか、リスクを承知のうえで、クルマの貸し借りを楽しんでいるように見えるのだ。貸し手に限らず借り手も事業に対する当事者意識がとても高い。それこそが、彼らが「Anyca」に対する楽しみ方のようだ。

ディー・エヌ・エーはこれまで、定期的に貸し手と借り手によるオフ会を開催している。クルマを共同使用する関係だけではなく、貸し手同士がSNSで情報交換する場合も多い。また、オフィシャルなオフ会以外にも、貸し手同士、借り手同士、また貸し借りをしたことでお互いが友達になり、家族同士の付き合いに発展するケースもある。

こうしたコミュニティーの存在が「Anyca」の中核にある。むろん最初はディー・エヌ・エーが仕かけたマーケティング活動なのだが、それを承知のうえで、貸し手と借り手が自ら「Anyca」事業を育てていこうという意識が強い。

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