FRB、ECB、日銀の9月政策決定から先行きを占う 日銀は9月逃げ切りも再び追い込まれる
注目された日米欧三極の金融政策決定会合が終わった。最後に実施された日本銀行金融政策決定会合は予想通りの無風ではあったが、あえて言えば、『経済・物価情勢の展望(展望リポート)』を公表する次回10月末の決定会合に向けて「経済・物価動向を改めて点検していく」との一文が加えられたことが耳目を集めた。
この点、「次回会合以降での追加緩和(おそらくはマイナス金利の深掘り)が示唆された」との解釈もあるようだが、そもそも経済・物価動向を点検しない会合などありえず、深読みは禁物だ。7月会合で「躊躇なく」とのフレーズを挿入したことで何らかの前進姿勢を見せねばならなかったという経緯があり、苦肉の策として付加した一文だと筆者はみている。
日銀の政策反応関数において最重要の変数であるドル円相場が、直近では高値圏(ドル高円安)にある以上、カードの少ない日銀が動く必要はなく、これは10月以降も基本的に変わらない方針のはずである。
輸出企業の採算レートは内閣府の『2018年度企業行動に関するアンケート調査』によれば99.80円、企業の想定為替レートは日銀短観6月調査で109.40円である。こうした調査を踏まえれば、当局の目線から見て、「99.80~109.40 円」ならば企業部門の収益を過度に心配しなくてよい。
今後、1ドル=100円を割り込んで定着するような地合いでもないかぎり、マイナス金利深掘りのような副作用もある政策を思い切って決定することはないと考えられる。さらに、1ドル=100円を割り込むようなドル安が進んでいる最中にマイナス金利を深掘りしたところで、その潮流が変わるかどうかは別の話である。
FOMCメンバーの半数近くが「2020年利上げ復帰」
一方、日銀会合の前日に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)からは今後が非常に読みづらくなってきた。マイナス0.25%ポイントの利下げ(誘導目標「2.00~2.25%」→「1.75~2.00%」)は想定どおり。これに対するトランプ米大統領の悪態、「パウエルは臆病者」といったツイートなども予想どおりの反応だった。だが、政策メンバーの金利見通し、いわゆドットチャートはかなり割れてしまった。
FF金利の先行き2019年から2022年の各年末水準の見通し(中央値)は「1.875%→1.875%→2.125%→2.375%」であった。つまり、連続利下げの可能性は視野に入っていない。人数構成を見ると、2019年末は1.625%(1回利下げ)が7名、1.875%(現状維持)が5名、2.125%(利上げ)が5名でおおむね3分割された。これが2020年末になると1.625%が8名、1.875%が2名、2.125%が6名、2.375%が1名と変わる。
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