シノブフーズの「おにぎり」はここまで徹底する

さまざまな設備を導入し、人手不足に対応

コメが炊きあがると人手でバットに入れられ、真空冷却器に自動搬送されて15~18分間かけて冷却される。自動で真空冷却器に出し入れする装置のベルトコンベヤーは合計4.4メートルもの長さを必要とするため、シノブフーズではこれまで導入せず、人手でバットを真空冷却器へ運んでいた。だが、炊飯機能の向上で炊きあがりが早くなったこともあり、出し入れ作業が人手では追いつかなくなり、ここでも最新設備を導入することになった。

その結果、炊飯工程では2〜3人の人手が削減され、炊きあがったコメを詰め替えるための人員1人と、炊き込みご飯の具の混ぜ込みやバットをならすための人員2人の合計3人だけで作業が完結できるようになった。

機械化の背景に深刻な人手不足

炊きあがったコメの一部は、おにぎり製造ラインへと送られる。新関西工場は、おにぎりを三角形に成形し包装する機械を6台導入している。うち3台には、「箱取り」という作業を行う装置を併設する。箱取りとは、「番重(ばんじゅう)」と呼ばれる持ち運び用の容器におにぎりを積み込む作業のこと。旧関西工場では箱取りを自動で行う装置が1台しかなかったが、新工場建設にあたり2台追加した。

おにぎり製造ラインでは、基本的には1ラインごとに具材充填を行う人員が1人(機械で行う場合は人員不要)、箱取りで1人の人員が必要となり、ほかの作業を担当する人員も加えると、3ラインにつき最大8人程度の人員を要する。

左側で成形、包装されたおにぎりが流れてきて、箱取りが行われる(記者撮影)

だが、箱取りを自動化することで、3ラインにつき最大5人程度で回せるようになった。人件費の削減効果は大きく、箱取り装置の購入に投じた金額を数年間の合理化効果で吸収できる見込みだ。シノブフーズは今後も設備投資を続ける方針で、10月には丸いおにぎりを箱取りする機械を1台投入する。

シノブフーズの積極的な機械化の背景には、深刻な人手不足がある。労働集約型産業である製造業や、小売り、外食産業など幅広い業種で、人手不足が切実な問題となっている。中食工場も同様だ。

別のコンビニ向け中食製造会社のある社員は、次のように現状の苦悩を吐露する。「工場や建築現場のようにイメージがよくない分野では、他分野で賃金が上がればそこに流出していくことが多い。技能実習生を上限ギリギリまで入れても、人手不足の解消には至らない。省人化に取り組まないと厳しい」。

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