「空白県」奈良にJR直通特急のニーズはあるか 9年ぶり復活、近鉄特急とは競合でなく共存

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今回の臨時特急は「くろしお」などで運用する「287系」を使った3両編成。1・2号車が指定席、3号車は自由席で定員は合計178席。通常期の指定席特急料金ならば1730円(消費税改定後)だが、新幹線との乗り継ぎ割引が適用されると860円となる。

「くろしお」で使う287系。臨時特急「まほろば」は3両編成で運行する(記者撮影)

JR西日本が新大阪―奈良に特急を走らせることで需要の深掘りを図るのが、山陽新幹線に乗ってやってくる観光客だ。臨時特急は山陽新幹線との接続を意識したダイヤを組んだ。上りは新大阪10時3分発で、博多を7時頃出発する「のぞみ6号」や「さくら540号」(熊本6時1分発)から乗り換えられ、奈良には10時53分に到着する。

特急の到着に合わせて奈良駅では自治体や観光協会などがPRイベントを開催。訪日外国人向けの観光案内ブースも設けられる。11月の3連休には「まほろば」車内での「おもてなし」も予定する。

九州・山陽方面からの利用に期待

臨時特急の運行を発表した8月22日の記者会見で、同社の森川国昭大阪支社長は「博多、広島、岡山といった九州・中国エリアからのお客さまにとっては午前中に奈良に到着ができる。乗り換えも新大阪での1度だけ。おおさか東線の乗り場は、新幹線のホームにも近い」とアピールした。

おおさか東線の普通列車(左)と並ぶ287系(記者撮影)

そのうえで、定期列車化については「今回の臨時列車の運行の状況を十分に見て今後の課題として考えていきたい」との方針を示した。

このところ山陽新幹線の利用者が増加していることは追い風だが、9年前の臨時特急は「6両編成で5割程度の利用だった」という。復活した「まほろば」の成否がおおさか東線の観光路線としての行方を占うことになる。

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