「空白県」奈良にJR直通特急のニーズはあるか 9年ぶり復活、近鉄特急とは競合でなく共存
前回の臨時特急は2010年4~6月に開催した「奈良デスティネーションキャンペーン」に合わせて運行した。国鉄時代の特急形車両を使い、新大阪からは特急「はるか」「くろしお」のように梅田貨物線、大阪環状線経由で天王寺駅へ。ここから大和路線で奈良まで走るルートだった。途中、王寺と法隆寺の両駅に停車した。
2010年は平城京への遷都から1300年に当たり、現在はすっかり人気者になった奈良県のマスコットキャラクター「せんとくん」は、この記念事業をPRする公式キャラとして生まれた。
今年、臨時特急の9年ぶりの復活を後押ししたのが、3月16日のおおさか東線の全線開業だ。2008年に先行して開業していた放出(はなてん)―久宝寺間に加え、新大阪―放出がつながったことで、東海道・山陽新幹線が発着する新大阪から奈良までの直通ルートが完成した。
乗り換えなしの利便性
おおさか東線の全線開業まで、新大阪から奈良へ向かう場合は、大阪環状線の大阪駅まで1駅乗って大和路快速、または大阪難波や鶴橋まで移動して近鉄線、といった乗り換えの必要があった。
ただ、現時点でも新大阪―奈良間の「直通快速」が1日上下各4本走るほかは、新大阪―久宝寺間での普通列車の運行が中心になっている。
開業当日、記念式典を開催した奈良駅で、JR西日本の緒方文人副社長は「直通快速でますます便利になる」と期待を示す一方「利用状況をみたうえでダイヤの拡充は考えていきたい」と述べた。
さらに、同社の来島達夫社長は翌月の記者会見で「新大阪から奈良までの直通の本数は限られているが利用はある。いずれ観光にふさわしい列車を当然考えなくてはいけない」との考えを示していた。
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