インスタ「チェーンメール騒ぎ」奇妙な既視感 なぜセレブたちはだまされてしまったのか
インスタグラムを使っている人なら、インスタグラムについてのこんなニュースを見たかもしれない。「明日から新しいインスタグラムの規約が施行され、同社があなたの写真を使用できるようになります」と、ぼけたテキスト画像に書かれている。「今日が最終期限なので忘れずに!!! あなたに対する訴訟に使用される可能性があります」。幸運にも「それ」は、特定の法令に則り、「ただコピー&ペースト」するだけで阻止することができます──。
法的拘束力があるというソーシャルメディアのリポストを明らかに偽物だと思ったあなたは、ジュリア・ロバーツやタラジ・P・ヘンソン、ジャド・アパトー、アッシャー、ナンシー・マイヤーズ、ジュリアン・ムーアといった著名人らとは違う。ほかにも、この投稿をシェアして拡散させたインフルエンサーや一般のユーザーが大勢いた。
差し替えられた元の「単語」
人騒がせなこの情報については、すぐさま基本的なネットリテラシーを持つユーザーらがユーモアを介してその理不尽さを指摘した。当然ながら新しい「規約」は存在しない、その投稿が言う「明日」は永遠だ、法的な主張は筋が通らない、といった具合だ。
情報の信憑性が疑われる手がかりの多くは、明白なものだ。テキスト画像の中の「インスタグラム」という単語は、この偽の警告文が、以前使用された際の別の単語と急きょ差し替えられていて、文章が進むにつれてサイズが大きくなり、視覚的な違和感が生じている。そして文章はこう締めくくられている。「インスタグラムは、写真やメッセージを共有する私の承諾を得ていません」。
差し替えられた元の単語は、「フェイスブック」でほぼ間違いない。この偽情報は過去にフェイスブックに投稿されたものと見られ、フェイスブックで広く出回ったため、ファクトチェックを行うサイト「スノープス」は2012年にその投稿に対処した。
こうした類のメッセージは以前からあり、ニュースグループの中や、メールを介して広がるなど、オンライン上で人々が集まったりやり取りをしたりするサービスなら事実上どこでも拡散する。Eメールによるチェーンメールは1つのメールプロバイダーに限ったものではなく、政府もしくはすべての権力を握るビル・ゲイツのような人物がメールに関する不正な陰謀を働いていると示唆していた。