インスタ「チェーンメール騒ぎ」奇妙な既視感 なぜセレブたちはだまされてしまったのか

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より一元化され、マーク・ザッカーバーグという一人の著名な経営者がトップに立つフェイスブックは、メールのチェーンレターの「伝統」の最たる継承者であり、偽情報づくりに豊富なネタを提供してきた。

2006年のチェーンメールはこうした文面だった。「フェイスブックは最近、利用者数が非常に過剰になっており」「このメッセージを2週間以内に送らない人」は「容量を増やすために躊躇なく削除される」。これは、その数年前にメールで拡散したスパムに手を加えたもので、2014年にはインスタグラムでも似た内容のメッセージが拡散されている。

「フェイスブックを削除します」

2009年に投稿されたのがこれだ。「土曜日の朝からフェイスブックは有料になります。少なくとも10人の友達がいる人は、このメッセージをその人たちに送ってください」。同年にはこんなものもあった。「もしあなたがまだ知らないとしたら、今日からフェイスブックは、誰もが閲覧できるグーグルにあなたの情報を自動的にインデックスします」。

そして昨年、こんなメッセージが出回った。「やあ、みんな。ザック(ザッカーバーグの愛称)から重大な発表があります。熟慮した結果、私ザックはフェイスブックを削除します」

これらのメッセージは、いろいろな言い方があるが、虚偽、スパム、フェイクであり、不正確な情報だ。その多くは、メールのプロバイダーやソーシャルメディア会社などの場合もあるが、たいてい報道機関もしくはファクトチェックのサイトによって偽情報であると暴かれてきた。

8月にインスタグラムで拡散した投稿については、同社トップのアダム・モセリが対応した。「注意!」と、彼はファッション誌『ウィメンズ・ウェア・デイリー(WWD)』の記事にリンクされたインスタグラムのストーリーで呼びかけた。「インスタグラムが明日から規約を変更するという情報を見たら、それは真実ではありません。より詳しい情報を見るにはスワイプアップを」。

フェイスブックでは、悪い情報は発生源が明らかでないことがよくある。インスタグラムの場合は、1つのメッセージが急速に広がるのはトップダウン的で、インフルエンサーが勧める商品やトレンドを介して受け入れられる。フェイスブックで口コミが広がる仕組みは目で見てわかり、シェアされた回数だけでなく、それがどこから発生したか、人々がそれについてどう思っているのかもユーザーが見えるようになっている。

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