昔も今も個性が光る「私鉄特急」名車列伝 各社の有料特急、懐かしの車両から新型まで

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名古屋鉄道

名鉄の特急といえば思い出すのは「パノラマカー」だが、今回は有料特急としてまずは国鉄(JR)高山本線直通の特急「北アルプス」を取り上げよう。

国鉄高山本線を走る名鉄の特急「北アルプス」(筆者撮影)

名鉄から高山本線への乗り入れの歴史は1932年に始まるが、戦争によって中断し、戦後は1965年8月から全車指定席の準急「たかやま」として神宮前―高山間で運転を開始した。名鉄はこのために専用のディーゼルカー、キハ8000系6両を製造した。「たかやま」は1970年に「北アルプス」に改称されて富山方面まで運転される本州横断列車に発展し、1976年には特急に格上げされた。

国鉄の分割民営化後、JR東海の特急「ひだ」が新型のキハ85系に代わるのを機に、名鉄も1991年に新車のキハ8500系を新造。JR車両とも連結できる構造で飛騨高山へのアクセスの一翼を担ったが、乗客の減少などで2001年9月30日をもって「北アルプス」は廃止され、名鉄の高山本線乗り入れの歴史を閉じた。

一方、名鉄本線上での初の有料座席指定特急は、1961年の7月から海水浴シーズンに新岐阜―河和口間で運転された「内海」号だ。その後、特急は全列車が座席指定制となった時代を経て、現在は中部国際空港アクセス特急2000系「ミュースカイ」が全車指定席、そのほかは指定席の特別車と一般車を連結した特急や快速特急が本線上を疾走している。

2階建てといえば「ビスタカー」

近畿日本鉄道

名古屋―大阪間を結ぶ近鉄の「名阪特急」は、旧国鉄の在来線時代から乗客獲得とスピードアップを競っており、ビジネスユーザー、観光客向けに快適な居住性を誇る特急電車を投入してきた。2階建て車として有名な「ビスタカー」もここから始まった。

近鉄の「ビスタカーⅡ世」10100系。先頭車が流線形スタイルの編成(筆者撮影)

1958年に登場した10000系は日本初のダブルデッカー特急電車で、高速車両として世界初の2階建て車だった。この10000系はいわば試作車的なもので、その後「ビスタカーⅡ世」と呼ばれる10100系が1959年12月にデビューした。それまで狭軌だった名古屋線が伊勢湾台風の被害復旧と同時に標準軌に改軌されたことで、大阪の上本町と名古屋間の直通運転が可能になり、ビスタカーⅡ世は名阪間を2時間20分台で結んだ。

1960年代に名古屋在住だった筆者は、そのスマートなヨーロピアンデザインの流線形と2階建てのドームカーを通じてはるかヨーロッパに憧れ、後年筆者をヨーロッパの鉄道に誘ってくれた思い出多い特急電車だった。

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