昔も今も個性が光る「私鉄特急」名車列伝 各社の有料特急、懐かしの車両から新型まで
■西武鉄道
東武、小田急と比較するとやや地味な感じの西武特急は「レッドアロー」と呼ばれ親しまれてきた。
初代レッドアロー5000系は1969年10月14日、西武秩父線の開業と同時に運行開始。池袋―西武秩父間の「ちちぶ」のほか、飯能までの通勤客向け「むさし」、西武新宿と西武秩父を結ぶ「おくちちぶ」も運転され、池袋線、西武秩父線、新宿線を座席指定特急が走るようになった。
1993年12月には現在も活躍する「ニューレッドアロー」10000系が登場。新宿線の特急「小江戸」が西武新宿―本川越間で運行を開始した。
今年3月16日に運行を開始した新形特急は001系「Laview(ラビュー)」で、長年続いた「レッドアロー」の愛称はこの車両から使われなくなる。「いままでに見たことのない新しい車両」というコンセプトのもとに開発された電車で、その形状は目を見張るほどの奇抜さだ。
だが、老年の筆者にはどこか懐かしいレトロさも感じた。1940年代のアメリカSF映画に出てくるような宇宙船と宇宙服を思い出してしまったのだ。ラビューを見て「歴史は繰り返す」と思ったのは歳のせいだろうか?
昔は揺れた「スカイライナー」
■京成電鉄
京成はかつて「開運号」という特急があったが、成田空港の開港に向けて空港アクセス特急の運行を計画。1973年春の開港予定に合わせてAE形(Airport Express)といわれる専用車両が1972年に登場した。
だが反対闘争などで開港が遅れ、1973年末から暫定的に上野―成田間ノンストップ特急に用いられ、ようやく1978年の開港時に晴れて空港特急として運行を開始した。この時代、筆者は渡欧の際によく利用したが何せ京成線内は揺れが激しく、高速運転とも相まってトイレの消毒液が揺れるたびにはみ出して衣服を汚した苦い経験がある。
初代AEに次いで登場したAE100形は空港ターミナルビル地下への乗り入れに備えて1990年6月に営業運転を開始した。地下鉄乗り入れを想定し、前面に貫通扉があるデザインが特徴だった。
2010年7月、「成田スカイアクセス」の開業に合わせて営業運転を開始したのが2代目のAE形で、その斬新なデザインはファッションデザイナーの山本寛斎が担当した。2010年度グッドデザイン賞および2011年鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞している。スカイアクセス線では最高時速160kmで走行し、国内の在来線最速を誇る列車だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら