日経平均株価がもう一段上昇するための「条件」 上昇相場は「売り方の買い戻し」から始まる
前回のコラム「ダウ623ドル安後の日経平均はどうなるのか?」でも書いたが、株式投資は企業にかける「賭け事」である。ただし、一般的に賭け事は、賭けたら結果を待つだけの1段階の行為だが、株は買ったら売る、または売ったら買い戻すという2段階の行為で成り立っており、勝つか負けるかの結果は、2段階目についてくる。
1段階目で買い多数なら、2段階目は反対売買で売りが多数になり、1段階目で売りが多数なら2段階目は反対売買の買いが多数になる。つまり、1段回目(仕掛け時)の「少数意見が勝つ」ということになる。しかし、現実は強弱対立するのが一般的で、明確な少数意見はなかなか現れないものだ。今回はその現れにくい少数意見が上述のごとく、一方的に表れていたのだ。
それでも、まだ現在の状況は、踏み上げ(買い戻し)だけの8月下値脱出であり、新規資金による買いではない。個人投資家をはじめ、多くのファンド筋もこの反発相場に乗れなかった。
日経平均株価の変動の大きさを推し量る日経VIは8月急落前の状態に戻った。これを先行指標と考えると、日経平均は2万1500円までは戻るとしても、そこからは、1000円下を売った筋の買い戻しだけでは力不足だ。世界の情勢は何も変わっておらず、売り方の力はまだ衰えていない。日本株を買う新規資金も動いていない。これだけ急騰したからと言っても、多くの投資家は評価損が若干減っただけだ。本当の攻防戦はこれからだ。しかし「相場は買い戻しから始まる」とも言われる。
日本が「世界経済復活の起点」となる日に期待
そして筆者はこうも考える。
9月8日の日本経済新聞では、欧米で進む「日本化」を取り上げていた。「クールジャパン」ともてはやされた日本のことではなく、失われた30年で陥った「低成長・低インフレ・低金利」が世界に伝播しているという記事だ。
世界の低成長は、欧州からとうとう「1強」だったアメリカにも伝わり、これだけ金融緩和をしても物価は上がらず、低金利はマイナス利回りの債券を世界で約17兆ドル(1800兆円)に膨れ上がらせた。例えば「デンマーク3位のユスケ銀行が世界初のマイナス金利の住宅ローンを始めた」、などと伝えられている。
しかし、天までとどく木などない。どこかで「低成長・低インフレ・低金利」が反転へ向かって動き出す時が必ず来る。そのきっかけは「日本化」などと世界から冷たい目を向けられている日本こそが作るべきだ。
何年かかるか分からないし、ややおおげさかもしれないが、将来の経済史の教科書に、その出発点は「2019年9月5日の日本株の意外高だった」と書かれることを期待したい。
今週の海外要因はECB(欧州中央銀行)理事会でのマリオ・ドラギ総裁の会見に注目だが、国内でも日本の4~6月期GDP改定値、8月景気ウォッチャー調査、8月工作機械受注、7~9月期法人企業景気予測調査、内閣改造発表、7月機械受注統計、メジャーSQ(先物とオプション双方の清算指数算出日)、7月鉱工業生産指数確報値(発表時間順)などと多くのイベント、注目指標があり忙しい。特に今後発足する新内閣には、限度を見せている日銀金融政策をカバーする財政政策発動などを期待したい。
以上のことから、今週の日経平均予想レンジは2万900円~2万1700円としたい。
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