30代が将来もらえる年金は今より20~30%減る 若い世代は、年金をどれだけ当てにすべきか

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長短の金利水準に誘導目標がある状態では、財政赤字の拡大がないとベースマネーの供給量を増やせない。また、そもそも資金需要が乏しいので、インフレ目標の達成のためには政府が需要を追加する必要がある。

減税や何らかの給付金の支出を行う一方で国債の発行量を拡大し、日銀が国債の買い入れを増額するような財政と金融の協力が望ましいのだが、今後の予定は10月の消費税率の引き上げであり、真逆の方向だ。

ところで、日銀の片岡剛士審議委員は、9月4日に北海道函館市で記者会見を行った際には、追加緩和の必要性に言及し、フォワードガイダンスの変更とともに「政府の財政政策との連携」を挙げたという。日銀の委員の立場では財政に言及しにくいのではないかと推察するが、正しい指摘を行った「勇気」に拍手を送りたい。

個人として、例えば資産運用で今何かやるべきことがあるわけではないのだが、今後、円高で(外貨建て資産だけでなく株価も下がる)少々嫌な思いをする時期があるかもしれないと覚悟しておいたほうがいい。

念のため付け加えておくと、「株価の下落を心配して株式(または投資信託など)を売り、株価が下がったところで買い戻そう」といった試みは、プロがやっても成功しない場合のほうが多い。個人投資家は、適量のリスクを適切な運用対象(年間の手数料は高くても0.5%まで!)でもってじっとしているほうが結果はいいだろう。

もらえる公的年金は、今後30年で2~3割程度縮む

さて、別のトピックにも触れておこう。

8月27日(火)に、5年に1度行われる公的年金の財政検証が発表された。前回の検証と結果に大きな差はなかったが、個人が意識すべきことを一言でまとめるなら「公的年金は継続性に問題はないが、向こう30年くらいの間に2~3割程度縮む」ということだ。

政府が参照している「モデル世帯」(サラリーマンの夫、専業主婦の妻)の「所得代替率」(現役世代の可処分所得に対する年金支給の名目額)は現在61%程度だが、これが政府の想定する最も好ましい経済前提にあっても51%台まで小さくなる。

つまり、最良のケースでも、現在の年金受給者の条件よりも2割程度縮むのだと考えておこう。「から3割」と付け加えるのは、現実はもう少し厳しいかもしれないという点の考慮だ。

世帯構成、働き方、所得水準など個々のケースで将来の年金額は異なるはずだが、「現在受給するとしたらもらえる年金額」を、例えば現在30代なら、2〜3割引き下げて見積もるといい。

加えて、政府が今使っている所得代替率は、年金の受取額から差し引かれる税金、社会保険料を考慮していない名目額ベースのものなので、個人が将来生活の参考にするには問題がある。「手取りベースの所得代替率」を想定するには、さらに十数%のディスカウントが必要だ。

年金のあれこれは、とくに若い世代にとって「うれしくない」現実だが、(1)公的年金は仕組み上破綻しにくいし、(2)老後の生活資金にあってはそれなりの大きさを占めるはずだし、何よりも(3)「意外な長生き」の可能性に対しては有効な保険なので、「厳しめ、かつリアルに」将来を想定して、生活設計に組み込むべきだ。

「老後2000万円問題」以降、霞が関方面では使用を避けられる傾向にある言葉らしいが、「自助努力」は重要だ(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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