1ドル=95円台まで円高が進む可能性は十分ある 「もし円高でも100円が限度」の根拠はあるか

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まず、損失を拡大させがちな投資家が陥りやすいバイアス(自分勝手な判断)として「後悔の回避」が挙げられます。

「すぐにロスカットできない」のはなぜか?

投資家は、通常、後悔の感情を引き起こす行動を回避したいと思っています。投資での損失を確定してしまうロスカットは、今までの自分の判断が間違いであったことを意識させる代表的なものです。

例えば、損失が拡大していても「短期ではなく長期投資をしているのだから、ロスカットは必要ないよ」と「後悔の感情」に直面しないよう先送りしてしまったりします。さらに含み損が増えたりすると、現実逃避に走り「これはきっと夢かもしれない。今はドル安円高に進んでいるけど、一夜明けて目が覚めるとリスクオンから1ドル=110円台まで円安方向に回復しているに違いない」と考え出したりします。しまいには「俺は悪くない。予想外の行動をとるドナルド・トランプ大統領が悪いんだ」などと、外部に責任転嫁するようになったりもします。

もう一つ、投資家のバイアスに基づく行動の一つ、「過小反応」について見てみましょう。投資家は自分の相場のシナリオや予想為替の水準が大幅に変更になるかもしれない出来事に直面した場合、心理的な抵抗などにより、「過小反応」をしがちなのです。

例えば、1ドル=105円が当面の底と強く思っていたにもかかわらず、トランプ大統領のツィッターなどでさらなる円高が進行したとしましょう。この場合、これは一過性で「長期で持っていればいずれ円安水準に戻る」と自分を納得させながらも、先行き、状況の変化が顕在化するにつれ、徐々に見方を下方(円高方向)に修正していくバイアスがかかっているため、機敏な対応(反対売買や見通しの修正)が行いにくくなる、と言われます。

投資家は、このように「後悔の回避」や「過小反応」が生じ、「ロスカットを実施しにくくしてしまう自分がいる」ということを事前に認識しておくことが必要です。

さらに、実際の投資では「アンカリング」(1ドル=105円などという基準に縛られること)バイアスをしっかりと意識し、機敏なロスカットで「ハーディング」(多くの人と同じ群れる行動をとってしまうこと)に巻き込まれない自分をイメージしておくことも大事です。

次ページ「根拠のない基準」に縛られず、「付和雷同」も避ける
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