現地ルポ、日立「イタリア鉄道工場」の最深部 設備や技術力は?日本庭園や食堂もすごい
テスト建屋を出て隣へ移動すると、そこが同工場の中枢となる組み立て現場だった。入ってすぐの場所には、整形される前のアルミ板が並び、車体の状態へ組み立てられるのを待っていた。奥にはアルミ板を切り出す機械があり、切り出されたものを順に溶接して組み立てていく、という工程だ。
アルミ素材といえば、日立製作所が製造するアルミ車体の鉄道車両シリーズ「A-TRAIN」が思い浮かぶ。実際に、英国向けの車両はすべてA-TRAINコンセプトを採用して製造されている。では、ロック(日立の製品名はカラヴァッジョ)にも、この技術が導入されているのだろうか?
「アルミダブルスキンなどの技術は、旧アンサルドブレダで製造されていた旧来の車両にも採用されていたもので、カラヴァッジョはA-TRAINコンセプトではありません。ただ、日本の技術はヨーロッパのものと比べ、外板の強度を保ちつつ、はるかに薄くすることを可能としており、この製造法を取り入れたカラヴァッジョの軽量化に大きく寄与しています」(マリノ氏)
細かい部分ではあるが、ロックにも随所に日本の技術が取り入れられていることがわかる。
日本から導入した最新溶接装置も
さらに先へ歩いていくと、マリノ氏が足を止め「これを見てください」と1台の機械を指さした。
「この溶接装置は日本から輸入したばかりの最新のもので、7月から稼動を開始させるものなのです」と誇らしげに語る。同社笠戸工場から導入された溶接装置で、日本でも使用している摩擦攪拌接合装置(FSW)である。
次に見えてきたのは、少々見慣れない形の車両で、明らかにヨーロッパの車両ではない。「これは台北地下鉄向けの車両です」とマリノ氏。台湾は、昔からイタリア製の車両を導入するなど、意外にも関係が深い。
実はこの車両、イタリア側が受注していて、当初はイタリアで製造して輸送する予定だったが、日本で製造すれば輸送距離が短く済みコスト削減にもつながるので、今後は日本側で製造することになったという。
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