回顧録も超絶ヒット「ミシェル・オバマ」の次 今も支持され続ける理由はどこにあるのか
2019年4月30日に発表されたラインナップは、幼児向けの食育番組や、19世紀の政治家で奴隷制廃止論を唱えたフレデリック・ダグラスの伝記映画など、どれもこれまで夫妻が推し進めてきた活動に沿っており、注力してきた問題は映画やテレビ番組という新しいステージで語られることになります。
ちなみにオバマ夫妻の製作会社の名前は「Higher Ground」。High groundというのは優位な立場の意で、道徳的に高潔であるという意味も含んでいます。夫妻のモットーである「相手が低レベルだったとしても、私たちは誇り高く(When they go low, we go high)」(『マイ・ストーリー』554ページ)を反映した社名となりました。
出版全米ツアーではロックスター並みの行列
このように、オバマ夫妻は政治の表舞台から去った後もさまざまな方法で国民にメッセージを送り続け、いろいろな問題に関与し続けています。
夫妻の回顧録の先陣を切って刊行されたミシェルの『マイ・ストーリー』はその一環でした。出版記念全米ツアーはまるでロックスターのコンサートのような大会場が並んでいたことからも、彼女の衰えない人気がうかがえたものです。本は40を超える言語に翻訳され、8月23日には日本語版も発売されました。
北米では発売後2週間で200万部突破、今年3月、出版元のペンギン・ランダムハウスは全フォーマット合わせて全世界で1000万部を超えたと発表。これは回顧録としては史上最高の売り上げになるそうです。こうして、ミシェルの肩書きに「ベストセラー著者」が加わりました。
「私は、いつのまにか普通でない旅に出ることになった、いたって普通の人間だ。そんな私が自ら経験を語ることで、他の人にも自分の経験を語って意見を発信し、誰がどんな理由でそこにいるのかが伝わっていく可能性が広がればいいと思う。(中略)自分自身と自分の意見を知ってもらい、自分にしかない経験を本音で語ることには大きな力がある。他者を知ろうとし、他者の意見に耳を傾けることは美しい。人はそうやって前に進んでいくはずだから」(『マイ・ストーリー』573ページより)
この信念を胸にミシェルが語った『マイ・ストーリー』。これからも続く彼女のストーリーに注目し続けたいと思います。
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